息子のまなざし

息子のまなざし

2004/01/14

ユーロスペース

 

この映画について厳しいこと先に書いてしまうと、試練の映画だと思います。

音楽は一切なし、台詞も登場人物も少ない、カメラはひたすら主人公の背中を手持ちカメラで追う・・・

なかなか本題に入らない。

しかし、情報(?)少ないながらもその事実がわかるとなると衝撃的で、今度は主人公の中年男性と一緒になって

苦しみを味わう。

痛いを通り越して、試練ですね。

人は罪を犯した人間をどう許すか、また、罪を犯してしまった人間は一生それを背負うことになり、

贖罪はいつになったらありえるのか・・・という深いテーマがあぶり出しになってきます。

そしてこの映画の試練に耐えた人だけが、この映画の感動を得る事ができます。

受身でただ気楽に映画を楽しみたい、お気に入りの綺麗な、またはハンサムな俳優さんを見たい、ジェットコースターのようにスリルを味わいたい、そんな見方ではこの映画に拒絶されてしまいます。

私も観ていてこれをビデオで観ていたら途中で挫折するかもしれない・・・と何度も思いました。

しかし映画館で集中して観られたことによって、主人公オリヴィエの腰痛の皮のベルトの存在、親指に血だまりが出来ている本当の大工のような指、肩までおが屑にまみれた後姿・・・感情表現は極力さけて後姿で怒りや悩みを表している様子・・・に心打たれてしまいました。

主人公と少年の何気ない動作のラストには、胸をつかれて、涙も出ない・・・唖然としたという方が適切です。 

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