オアシス

オアシス

2004/02/10

ル・シネマ

 

前作『ペパーミント・キャンディ』それはそれは1人の男の敗北をじっとみつめて生きる事の

虚しさをとことん追求していたのですが・・・今回の『オアシス』同じ監督・出演者とはいえ、この「生きる強さ」は目からウロコがぽろりんと落ちるような気がしました。

冒頭、ソル・ギョング演じる主人公の猫背、落ち着かない動き、貧乏ゆすり・・・からしてこの人のお人柄が伺えます。

そして、普通の生活、一般的な常識、健常な家族達・・・からかけ離れた主人公と脳性麻痺の女性という普通ではない生活、非常識、障害者(又は前科者)の共生の厳しさがこれでもか、これでもかと

描かれる中にファンタジーが見事に融合していて、現実逃避ではない、空想の世界ではない

ファンタジーです。

現実が厳しければ厳しいほど、そのさりげないファンタジーの部分が美しい調べのように

「夢」になる。

例えば割れた鏡の反射する光が白い蝶になる一瞬、タペストリーのオアシスに入っていく瞬間。

どれもスムーズに厳しい日常の中のファンタジーを際立たせています。

将軍と姫君・・・この2人がいずれどうなるか・・・そこまでは描ききっていないのですが、

この2人の哀しくも前向きで現実を受け止める逃げない姿勢は、見ていて勇気づけられました。

無意識の差別と先入観がこれほど怖く、そしてそれにさらされる2人の無抵抗に近い状況を、

「物語」にしている力量、感心します。

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更夜飯店

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