もし、あなたなら
2004/03/11
シアター・イメージフォーラム
韓国インディペンデント映画2004にて鑑賞。
6本の短編を集めた映画です。一応インディペンデント・・・低予算、商業性少、しかも短編で時間も短い・・・ので
あまり期待していなかったのですが、これが大きく裏切られる嬉しい結果となりました。
どの映画も映像的にもストーリー的にも大変美しく、6本に共通しているのは「差別」「コンプレックス」といった
ものですが決して説教でも抗議でもない「立派な娯楽映画」でした。
『大陸横断』
脳性麻痺の青年の様子をさらに13の章に分けてユーモア感覚あふれたかつ社会問題もさらりと描いてみせた
手法が素晴らしいです。
『その男、事情あり』
ちょっと近未来風の設定で「独裁政権」を臭わせる雰囲気の中で「おねしょに対する罰」ということを描きながら少しホラーの要素も含め、そしてブルーがかったモノクロ調の映像が美しいです。
特にラストシーン、ですね。
『彼女の重さ』
太っていること、ダイエット、整形手術・・・女性の「容姿のよさ」重視の社会をユーモアでもって痛烈に皮肉っている「女性映画」女子高が舞台ですが、学校の様子が何とも可笑しくそして怖い。
主人公の体重66キロの女の子の表情がいいです。
ダイエットにとりつかれて拒食症、過食症といった病気にまでなってしまう現代の病んだ部分を見事に
切り取って見せてくれました。
『顔の価値』
これも「顔の良さ」グッドルッキングに対する無意識の差別を怪談話風にしていて切れのいい短編。
『神秘的な英語の国』
英語の発音をよくするための舌の手術を子供にさせる親のエゴとコンプレックス・・・とてもなんとも痛そうなシーンもありますが、病院の看護婦さんがウサギの着ぐるみを着ていてちょっとおまぬけ・・・でも本当にこういうことやりかねないですよね、今のお受験熱心な親って。アイディア秀逸です。
『平和と愛は終わらない』
韓国に住む外国人(ネパール人)への不理解と差別がなんとも皮肉なことに・・・ちょっとドキュメンタリータッチなのですが、カメラにむかって急に自分の考えを言い出したり、手法が凝っていました。
『10ミニッツ・オールダー』は時間をテーマにしていましたが、この短編映画は、韓国国内だけの問題ではなくて私たちにとても身近な事をとりあげていて、是非日本でも公開して欲しいですね。
個人的には『彼女の重さ』の皮肉と『その男、事情あり』の映像がとても気に入っています。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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