青い凧

青い凧

藍風箏(The Blue Kite)

2004/05/25     ビデオ 1993年中国:138分:監督 ティエン・チュアンチュアン(田壮壮)

去年10年ぶりの映画『春の惑い』が公開された田壮壮監督ですが、この『青い凧』で1993年の東京国際映画祭グランプリをとりました。しかし、政府当局の許可なく海外公開したため監督活動禁止令が下されました。

この映画ははっきりとした「反・文化大革命映画」なんですね。しかし、過激なシーンというのはほとんどなく、静かな怒りのように監督と同じ年の少年の目を通して・・・という語り口で、1950~60年代の中国を描いています。

過激な所を避けている分、文革がじわじわと人々の間に入り込んでくる過程が、周りの大人たちの姿を通して沁みこんで来る胸をつかれる映画です。

少年の父は、青い凧を作ってくれた。

母をめぐる3人の男性というのが、それぞれ知識と良識のある人たち、なのですが、「批判」されてしまえば即、反革命分子として、追いやられてしまう、そして母と息子がとりのこされる。

こう書くと、「なんて悲惨なんでしょう」と思われてしまうかもしれないのですが、映像はとても美しく、静謐。穏やかなシーンの連続です。正月の夜、提灯をさげて子供たちは花火を楽しむ。その色とりどりの提灯の美しい映像。アップを避けて引きのカメラで街のにぎやかさを静かに映す。その連続ですね。そして少年をひたすら守ろうとする母の優しさと厳しさがあります。

そして、いつも母に守られてきた少年が母を救おうとして倒れた目に映るものは、今度は自分が作った青い凧が木にひっかかって風に揺れている風景。

もう、本当に、映像が静謐で美しい。人々も色々な大人、子供がいる。普通に食卓を囲んで食事をして、子供たちは遊ぶ。

違いはそこに「革命」が入り込んできたか、ということです。

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