THREE/臨死
THREE
2004/05/20 シネアミューズ・ウェストにて 2002年:韓国・タイ・香港:127分:監督 キム・ウジン、ノンスィー・ニミブット、ピーター・チャン
ホラー映画に関しては、好きとか嫌いとかないですね。笑う、泣くと同じように「怖い」も人それぞれだからです。
これは、香港のピーター・チャン監督が製作も兼ねて韓国、タイ、香港と3国のホラーオムニバスを作りました。
ですから、各国のホラー事情、「怖いこと」ってそれぞれ違いますのでその違いを興味深く観ました。
第一話『Memories』韓国:キム・ウジン監督
映像がとても硬質でクリアですね。びっくりさせる音やタイミングなどとても完成度高いです。硬質な雰囲気なのでグロテスクさもべとべとしていない所がいいです。
ホラーって、謎が全部解けてしまうとただの説明的な謎解きになってしまうので、説明つかない摩訶不思議な部分は残しておいているのもいいです。この話では、タクシーの運転手。何も言わず突然走り出して、放り出して、追っかけてくる。
画面構成などはとてもきちんとした律儀さが見えます。
第二話『The Wheel』タイ:ノンスィー・ミニブット監督
人形遣いが人形に呪われる、という話よりも人間同士の嫉妬や確執の部分が強調されていて、アユタヤを舞台にしたこちらは温度・湿度がむんむんと伝わるような映画。
去年公開された『ジャンダラ』みたいだなぁ、と思ったら、監督、俳優さん、同じでした。
人形が、タイの伝統のもので美しいのですが、不気味というところが(タイの寺院に行くとあの人形風の仏像、飾りだらけ)日本人にはわかりにくいかもしれません。
怖いのは呪いよりも、人間の業ですよ、という仏教ムード・禁欲ムードが全面あふれている雰囲気は『ジャンダラ』に続き好きです。
第三話『Going Home』香港:ピーター・チャン監督
ホラーというよりサスペンスと悲恋のとても良く練られたストーリーですね。一番、「わかりやすい」かもしれません。
香港大明星のレオン・ライ(黎明)が、何かに執り付かれたような孤独で黙々とした男を演じています。
それに巻き込まれてしまうのが、エリック・ツァンなのですが、この2人の間にはユーモラスな空気も流れて、話は大逆転して「わかりやすさ」「ストーリー」重視の観客は満足かなぁ、と。
私もびっくりしました。ひぇ~~~、なんてことだぁ・・・っとね。奥深いこと一瞬でみせます。
撮影は(あの)クリストファー・ドイルで、がらんと荒涼としたマンションの廊下がどこまでも続く中に過る影など、全体的にダークな色合いなのが、またまた悲劇を盛り上げてますね。
ラストや先が読めないところなど、クリスチアナ・ブランドのミステリー小説を思い出したのは私だけ?
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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