ホストタウン エイブル2

ホストタウン エイブル2

2004/05/14  シアターイメージフォーラムにて 2004年日本:100分:監督 小栗謙一

アイルランドのダウン症の少女を中心にしたドキュメンタリー。

こういうドキュメンタリー映画とか社会福祉的な内容の映画って敬遠されがちですね。

作る方も観る方も偽善者っぽいイメージがあるのですが、それは多分テレビ番組からの先入観かなぁ、と思います。

キレイなものを観たい、楽しいものを観たい、現実逃避したい・・・それも映画の楽しみ方なのですが、普段自分が知らない世界も私は見たいと思っています。

ドキュメンタリー映画には、ある一点を虫眼鏡で凝視するようなものもありますが、この映画は望遠鏡で遠くから色々な風景を見ているというスタンスで作られています。とても淡々としています。押し付けがましい感動とか問題提起はしていません。

エイミーという18歳のダウン症の少女だけでなく12人の兄弟姉妹の中にはもう1人、脳性麻痺で足が不自由な妹リンジーがいます。エイミーとリンジーはある意味正反対。養護学校から普通高校に転入したエイミーと普通学校から養護学校に転入したリンジーでは、言い分が違うのですね。

エイミーの住む町、ニューブリッジは知的障がいのオリンピック、スペシャルオリンピックの日本人選手のホストタウンとなりましたが、エイミーは体操選手としてアイルランド代表にはなれなかった。

そのことについて、エイミーはストレートに怒った(angry)という言葉を使っています。

リンジーは双子の弟が自由に生活していることがつらく、養護学校だけが唯一の逃げ場だとはっきり言います。

スペシャルオリンピックの様子、ホストタウンの様子なども描かれますが、私が一番共感したのは、エイミーが職業訓練でひたすら電話応対の研修を受ける様子が繰り返しでてくる所ですね。

基本とかマニュアルはあるのですが、電話応対というのはなかなか大変です。これは自分が実際仕事で痛感していることで、エイミーが電話がかかってくるのをドキドキ待っている表情とか、応対にこまって目が宙に浮いてしまう様子なんかは、障がいとか、関係なく「自分だったら・・・」って思ってしまいますね。

上手くできないと自分に悔しくてポロポロ涙を流すエイミーは、自分にとても厳しい性格ですね。反面リンジーは、自分に甘い性格。最後にリンジーが家族にささえられてボーイフレンドとパーティに行くシーンのあとに、エイミー、電話応対のシーンが出てくるのが印象的。

今、エイミーは高校を卒業して電話受付の仕事をしている、と字幕がでて本当にほっとしたぞ・・・・・。 

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更夜飯店

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