犬と歩けば チロリとタムラ

犬と歩けば チロリとタムラ

2004/05/11   銀座シネパトスにて 2004年日本:117分:監督 篠崎誠

この映画を観ようと思ったのは、チラシの写真でした。

雨の中、タオルで頬被りをしている犬と一緒に傘をさしてぽつんと座っている青年(田中直樹)・・・・なんとも哀愁があって気に入りました。

冒頭いきなり飼い主に捨てられる犬と、恋人に捨てられる男が出会う。家も職場もなんにもない青年と犬は、同等の立場です。

ペットや動物を擬人化したり、美談にしたりすることなく、同等の目というのがこの映画のいいところです。

犬と青年はすぐに仲間になるのですが、常に家族に振り回されて自分のことに精一杯の恋人(りょう)の「犬の話なんかしている場合じゃないでしょ」という突き放した、怒りの視線があるのですね。そして青年のことを「いつも自分のことしか考えていない」と責めるのです。

青年の優しさに気付かない、長年一緒に暮らしていているから、優しさがひたすら頼りなさに見えてしまうけれど、犬のタムラは一目で「コノヒトは優しい」と思ったのでしょう。タムラの体一杯の信頼感が凄い~

そして青年とタムラはセラピー・ドッグの存在を知り、その世界に入っていくのですが、セラピー・ドッグというのも生まれたときから訓練される盲導犬などと違って、1度捨てられたりした犬を訓練して・・・という厳しい世界。いつも左側を歩くという訓練ひとつとっても難しいものです。

その優秀犬がチロリなのですが、チロリはいかにも雑種です・・・とわかるなんだか平べったい犬ですね。おとなしくていくら触られてもじっとしていて添い寝もする。

青年は優しいけれど、反面人に対して怒ったりできない・・・そんな優しさもタムラと一緒に鍛えられていきます。

青年の妹はしっかり者で「(犬と同じようにエサをあげたら)居つくから、早く帰って」とさばけていますが、その夫が変わり者のようでいて青年の優しさに気付いている1人。さりげなく手をさしのべるのがいいですね。

出演者は田中直樹をはじめ、役者が本業でない人がたくさん出ています。妹がPuffyの吉村由美、その夫がラーメンズの片桐仁。

セラピー・ドッグの指導者が大木トオル。そういう人の使い方が上手いですし、ちょっとした脇役に嶋田久作さん(警官)、寺島進さん(店の客)など嬉しいところです。

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