真珠の耳飾りの少女
Girl With A Pearl Earring
2004/05/11 シネスイッチ銀座にて
2002年イギリス:100分:監督 ピーター・ウェーバー
一枚の絵から創りだされた17世紀オランダの時代と風景がどこを切り取っても名画のようです。
画家フェルメールとその家族、絵のモデルとなるメイドのグリードなどの使用人たちが中心で登場人物はそう多くないのですが、その分人と人の隙間の描き方が濃密。
しかもフェルメールとグリードは台詞を極端に少なくして、表情や目の力で内面を出しているところなんかとても濃い演技ですね。大袈裟な台詞というのがないのに、濃密に緻密に描き出す世界とても重厚で好きです。
フェルメールは家の実権は義母と妻に握られてしまっていて、グリードは貧しさから使用人という低い立場からは逃れられない。
それを打ち破る外への力というのはなくて、その力はどんどん内面へと募っていく・・・それが実にじっくり描かれています。
それでも映画のテンポは一定していて安定感があるところ観ている間は気がつかないのですが、観終わってみるとその安定感がじわじわと胸に迫ってきて感心しました。
いつもしかめっつらのフェルメール(コリン・ファース)と笑顔をみせない、浮かない顔がよく似合うグリード(スカーレット・ヨハンセン)よくわかっているというか監督の技量というか。
技量という点では、美術やセットなど落ち着いていて、光と闇のコントラストが美しく、オランダの運河が冬になると凍りついてしまって氷を割りながら舟を進めるところとか、使用人が働く台所の映し方とか、美術、衣装、撮影とても凝っています。
最後に、絵を見た妻の台詞。それは実に残酷で妻を演じたキリアン・マーフィも迫力がありましたし、ただの高慢な女に終わらせていないですね。
スカーレット・ヨハンソンは、『ゴースト・ワールト』『ロスト・イン・トランスレーション』・・・安易に笑顔で媚を売らない少女、女性の雰囲気持っていて、仕事選んでいるように思います。ただの美人さん、じゃない独特の個性がありますね。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
0コメント