ブラザーフッド

ブラザーフッド

(TAE GUK GI 太極旗を翻して)

2004年6月18日  銀座・ガスホールにて(試写会) 2003年韓国:148分:監督 カン・ジェギュ

韓国では大ヒットした朝鮮戦争に翻弄された兄(チャン・ドンゴン)と弟(ウォン・ビン)に焦点をしぼってもこの長さ、です。

監督の思い入れというのがヒシヒシと伝わるし、えんえんと戦闘シーンが続くのですが、カメラは手持ちカメラでこの2人をクローズ・アップするのですね。爆弾が落ちれば土くれや岩がどひゃ~っと降ってくるのがまるで自分の頭の上に降ってくるような臨場感に感心してしまいました。

もちろん、役者も体当たり、下手すれば命がけでやっているとは思うのですが、このカメラマンも凄いぞ。

戦闘、戦場シーンが多すぎる、悲惨なシーンが不快という評判出そうだなぁ~宣伝がなんだかハリウッド大作みたいな大宣伝だから、ココロの準備なしでショック受けて、拒否反応示す人、多いだろうなぁ~と思いましたら、某サイトでは、予想通り、けちょんけちょんな言われよう。

あ~あ、本当に平和な今の日本の一般ピープルって、こういう映画に耐える耐性というものがないんだなぁ~と私はげんなり。

戦争に徴兵されるのは男性といっても、家に1人は男性を残すものなのに、この兄弟はどさくさに紛れて2人とも徴兵されて即戦場に送られてしまったこと、が大きな悲劇。

兄は手柄を立てて勲章をもらい弟を家に帰す許しを得ようとするのですが、反面どんどん兵士としての力量を発揮してしまい戦争にのめりこんでいき、それをよくわかっている弟、気持ち複雑で、仲の良さゆえに対立してしまうのが第2の悲劇。

その2人の立場や関係や気持ちがくるくるかわるから、激しいリアルな戦闘のシーンがあってもそこで戦う2人の気持ちはその場、その場で違う

ということしっかりわかるような脚本なっているのですね。観ていてはらはら、どきどき。

そして後半にかけて第3、第4の悲劇・・・・と続いてしまうのですが、これが、目が点になる展開でしたね。まさかの展開。

そういう映像と物語の融合を私は上手い、と思いました。最初に2時間28分と聞いて、ちと、長いかなぁ~と心配していましたが、体感時間は短く映画にのめりこめました。

目が血走っている兄、チャン・ドンゴン、優しさと強さを好演。弟、ウォン・ビンの負けん気ぶりもあっていましたね。そしてこの兄弟の絆の深さ、とてつもなく深い、それがこの映画の真髄と私は観ました。

韓国の役者さんは、当たり役、をとってもそこに居座るケースは少ないように思います。全く違う役をどれだけこなせるか、が注目しているところで、その違いを受け入れる姿勢がもともとない人とか、ウォン・ビン君、チャン・ドンゴンさんがテレビドラマでかっこいい、素敵な役をやっているから、というだけの動機の人はこの映画を観る事はおすすめしません。

冷たいようで悪いけれど映画への耐性がついていない人にはただ辛い時間になってしまうと思います。

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