世界の中心で、愛をさけぶ

世界の中心で、愛をさけぶ

2004年6月17日   有楽町スバル座にて 2004年日本:138分:監督 行定勲

私はこの原作は読んでいませんので、あくまでも映画として観たら・・・ということになります。

最初はこのタイトルに引いていて、すすんで観ようとは思わなかった・・・というのが正直言ってありました。わぁ・・・愛を叫んでしまうわけ?と。今時の若い人の間でベストセラーっていうのも「わかりやすい泣ける恋愛もの」かなぁ~という気持ちもありました。

しかし、行定勲監督、きちんとした「映画」にしていました。

最近、日本映画は地方をロケしてきちんとしたご当地映画というのが多いのですが、例えば『ロボコン』『ほたるの星』が山口県、『下妻物語』茨城県、『木更津キャッツアイ~日本シリーズ』千葉県・・・『ナビィの恋』『ホテル・ハイビスカス』など沖縄映画。(かつては『男はつらいよ』シリーズというのが日本全国を舞台にしたご当地映画だったわけですね)そしてこの映画は愛媛県です。

高校生時代の悲劇。そしてそれから抜け出せないままでいるサク(大沢たかお)と婚約者・律子(柴崎コウ)の現在を描きながら、80年代高校生だったサクとアキのきらきらした高校生活とアキの病気による死という悲劇が交互に描かれますが、過去の映像は明るさに満ちていて、現在の映像はダークな色合いになっています。

頭もよくて、スポーツ万能、美少女のアキに『ロボコン』の長澤まさみ。このアキが本当に最初は健康的でキラキラしているんですね。だから病気が悪化してからもその「明るさ」を無理に作ろう、作ろうとしていアキの姿がとても痛痛しいです。私的には長澤まさみの映画といってもいいかもしれません。

屋上で焼きそばパンを口につめこんでぼーっとしてる普通の子、サク(森山未來・・・本当に大沢たかおに似ている)であります。ソニーのウォークマンⅡが32000円もした時代、深夜ラジオにペンネームでリクエストハガキを書く、携帯電話もないのでお互いカセットテープに声を吹き込んで交換する・・・80年代後半に学生時代を送った人にはなつかしいあれこれ、細部にこだわって丁寧に撮っていますね。(ラジオのDJは渡辺美里にやらせる、という凝りぶりです)そういう丁寧さが行定監督らしいです。

大沢たかおは、本人もインタビューで言っていましたが「(カセットの)アキの声をひたすら聞く」役です。台風というのがキーワードになっているのですが大雨がガラスにふってその影が人物に映るとか、綺麗で切なくて美しい撮影が見事です。

印象に残っているのは、倒れてしまったアキが父の車で連れて行かれるあとを走って追いかけるサクの後姿をずっと追うカメラ、脇のキーパソン

写真屋の重じい(山崎努)の写真の撮り方(や~って掛け声をかける)、そして昔のことを教えてほしいというサクとアキに「・・・タダじゃ、ヤだ」といってとんでもないことさせちゃうところ、釣具屋の前で、釣竿もって座っていてバイクで学校から帰るサクをひっかけて「あ、バカが釣れた」というおじいさんです。

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