ほたるの星

ほたるの星

2004年6月16日  新宿武蔵野館にて 2003年日本:101分:監督 菅原浩志

小学校の時、愛読していた本があります。原田一美著『ホタルの歌』(学習研究社)で、課題図書になったので小学高学年だった姉のために買った本だと思うのですが(毎度のパターンで)私のほうがはまりました。昭和41年から徳島県の小学校でホタルの研究、飼育をした先生と生徒たちの感動の一冊。この映画を観てからごそごそとこの本を探し出して読み直してしまいましたね。(そしてやっぱり感動して涙)

東京のビルの地下の整備の仕事をしている青年・小澤征悦は試験を受けて念願の小学校の先生になり、山口県の小学校に赴任します。

そこでホタルの存在を知って生徒たちとホタルの飼育をし、ホタルの住める環境をつくろう・・・という努力と苦労が実に優しい視線でやんわりとつくられた映画です。

まず赴任した小学校のたたずまいがいいです。木造校舎で校庭が広くて・・・。周りの風景も水田の広がる山と農村の風景です。

でも、やはり今時の小学校。人はいいし、やる気もある好青年ではあるけれど経験のない新米教師には、子供たちの親、教頭、など頭を抱えてしまう問題もあります。ホタルの飼育を通してクラスが一団となろうとしても、親や学校側の反対など壁にぶつかってしう。家庭に問題のある子もいる・・・そんな壁に悩みながらも真摯に朴訥にとりくんでいく、小澤征悦が本当に好青年なんですね。

何故、仕事をやめて教師を目指したか、というのも別の話として出てくるのですが、こういう先生は子供たちの人気者になるだろうなぁ~という安心感をかもしだしています。上手くいかない悩みも、ウンウン、どうしようかねぇ~と素直にうなずいてしまう私。

こういう安心感を持ってみられる映画っていうのも貴重ですねぇ。映画館に高校生の男の子5人組がいて、てっきりとなりで上映中の『スクール・オブ・ロック』を観に来たのかと思いましたら『ほたるの星』にぞろぞろと・・・終わったあとに「ああいう先生、いいよな」って聞こえてきてまた安心したのでした。

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