キング・アーサー

キング・アーサー

King Arthur

2004年7月20日 日本武道館にて(試写会) 2004年アメリカ:監督 アントワン・フークア

(注意)

この映画は私は不満なので良いことを書いていません。映画をけなしたくない、というのが基本的にあるのですけれど、全ての映画が褒めるに価するか、というと不満に思う映画も出てくるわけです。

この映画に感動した、良かった、という方は不快を感じると思うので読まないでください。

ジェリー・ブラッカイマー製作もの。これだけでわかる人にはわかるでしょう。もうね、アーサー王伝説なんて無視したハリウッド金かけた超大作コスチュームもの。音楽はやっぱりハンス・ジマー。(ラスト・サムライとか)

アーサー王伝説を全く知らない人は、凄い迫力の戦闘シーンだ!となるのでしょうが(実際、某サイトではそういう意見が多いし、それはそれで否定はしません、黒澤明監督の『七人の侍』へのオマージュだとかさ)、アーサー王伝説なまじ知っているともう観ていられない、つらい映画です。

日本ではアーサー王伝説は、そうそう浸透していないからいいとしても、文学、歴史文化の基礎になっている西欧でこの映画はどう受け止められたのでしょう。知っていて当然だから、はぶくところははぶきました、かな。それにしてもおかしいですね。

映画はもう独立したハリウッド映画だから仕方ないとはいえ、腹立つのは宣伝。アーサー王伝説!!!!めいっぱい全面に押し出していて、これは詐欺としかいいようがありません。だって「伝説」の数々のシーンなんてないのだから、説明しても

無駄じゃない?わざわざアラマタ氏の解説なんて載せても、そこに載っていることは何も出てこないし(特にトリスタンとイゾルデなんて全く不要な説明)、伝説知識なんて必要のない娯楽戦闘映画なんだから。

全編をアイルランドでロケしている所、悪役にドイツのティル・シュヴァイガーを起用しているところは良かったですが、キーラ・ナイトレイ演ずるグィネヴィアは、単なる山賊の女戦士です。友人が「もののけ姫みたい」と言ったのは実に正解。

私はアーサー王伝説に出会ったのは本でも映画でもなく、ロックバンド、イエスのキーボードだったリック・ウェイクマンがソロで出したコンセプトアルバム『アーサー王と円卓の騎士たち』でした。キーボードの可能性に限界まで挑戦した意欲作(アルバム説明より)その神秘性に夢中になって、本を読み・・・映画でジョン・ブアマン監督の『エクスカリバー』(伝説の忠実な映画化)に感動し、そのパロディ『モンティ・パイソン アンド ホーリー・グレイル』に大笑いしたのでした。

しかし、まぁ、ジェリー・ブラッカイマーという人は、ヒットさせる、興行成績を上げるということを鬼のように追いかけている人だなぁ。それはそれでプロデューサーとして正しいかもしれませんが、作家性とか個性や原作、伝説を大切にしない人は私の好みではありません。そこら辺が『ロード・オブ・ザ・リング』や『ハリー・ポッター』との違いだなぁ。

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