午後の五時

午後の五時

At Five in the Afternoon

2004年7月14日 銀座テアトルシネマにて 2003年イラン=フランス:105分:監督 サミラ・マフマルバフ

「午後の五時、のこるは死、死だけだった」という詩のつぶやくような朗読で始まるこの映画は映像がとてもクリアで詩的で特に青の使い方が素晴らしい。

タリバン政権が崩壊した後のアフガニスタンでやっと女性も教育を受けるようになり20代の女性が中学生と一緒に学校で学ぶ・・・という状況にあり、「大統領になりたい」と密かに思う22歳の女性、ノクレ。

彼女の夢はふくらむのと反比例して実生活はつらいものになっていく。

女性たちは青いブルカをかぶり、青い傘をさす。傘は柄があっても基本的にはみな青。大勢の青い女たちが青い傘をさして歩く、赤茶けた地面を2人の青い女性が足早に歩いていく、映像が美しくて悲しいです。

妹ハナの目が「どうして?」という目なら、姉サミラの目は自信にあふれていて、「これじゃ、いけない!」という怒りと安定が共存する。その執念に近い想いが透明な青、にぶつけられているようです。

大統領になりたい、どんな人が大統領になるの?どうすれば大統領になれるの?という意欲はだんだん沈黙へと変わっていきますが、どんなに生活が苦しくなっていっても、未来に希望はある!と言い切ったその姿勢。凄みのある美しさ、になっている映画です。

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