華氏911
Fahrenheit 9/11
2004年8月26日 有楽町スバル座にて
(2004年:アメリカ:122分:監督 マイケル・ムーア)
世間で評判になっている(毎度)お騒がせのマイケル・ムーア監督の「ブッシュ批判」と「反戦」アメリカ映画です。
ドキュメンタリー映画でつらい時があるのは、ビデオやテレビの粗い映像がスクリーンにえんえんと映し出されるときなんですが、今回は本当につらかったかも。。。う~ん。
結局は「金」「利権がらみ」の戦争なんですよ、大勢の人を悲劇に巻き込んだその責任をどうとるんですか?というテーマが2時間くらいで語るには大きすぎて散漫になっているような気がします。アポイントなしの突撃インタビューが監督の持ち味だった訳ですが、今回は2000年ブッシュ大統領就任からの発言や行動の矛盾の数々を過去の映像の編集で細かく「つっこむ」方が多いです。「そうだったのか!」よりも「やっぱりね」です。
後半はイラク戦争の兵士やその家族たちの姿を追いますが、一番いやらしい~のは「イラク派遣する兵士をスカウトする2人」が妙にマニュアル化してて、弱みにつけこんで美味いこといいつのる様子。そして「軍隊に入るしかないか・・・」と考えてしまう若者たちの現状。
9/11テロ事件もあまり描かずひたすらブッシュ批判で、監督自身の行動というのが前作『ボウリング・フォー・コロンバイン』よりも少なくなって、ナレーションを使うという方法。そのナレーションが結構過激で、ブラックなのでしょうが、字幕では苦しいです。アメリカ人らしい観客がいましたが、ぶあっはっは!というアメリカンな大笑いをしていましたからネイティブには、真面目ながらも溜飲をさげる、笑える言葉、なんでしょうけれど。そこがやはり「アメリカ映画」だな、、、と思った次第です。
しかし映画でここまでやることが出来るのはマイケル・ムーア監督だからだし、弱者の味方という真摯かつ強引な戦う姿は相変わらずです。
『ボウリング・フォー・コロンバイン』は冒頭「口座開設したお客様にはライフル銃をプレゼント」という銀行に監督が口座開設をしに行くというところから、「ぎょ!」とするのですが、今回は何も映さないスクリーンに9/11の事件が起きた時の人々の声だけが響き渡るというところで、胸が痛くなります。
この映画の話題につられて観て、そうか~~~ブッシュ悪者~~~って即、鵜呑みにして騒ぐのはどうかと思います。
事実の伝え方は色々で、それは過去のメディアが発表してきた「ニュース」の矛盾をあれだけ、つっこんでいるのだから、映画を観てみるとわかると思いますが、マイケル・ムーア監督はただブッシュ悪口、こきおろしの気持ちだけで作ったとは思えないです。ブッシュ大統領は氷山の一角。
「戦争責任」というものを観客に問いかける映画、そして戦争はいまだ進行中で解決はしていないのが現状を訴える気持ちが強いのではないかなぁ。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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