CODE46

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2004年8月23日イイノホール、24日銀座ガスホールにて(試写会)

(2003年:イギリス:93分:監督 マイケル・ウィンターボトム)

マイケル・ウンダーボトム監督が作り上げた近未来。

それは、スフィンクス社という会社が世界を支配し、規律を設けている。それは人を2種類に分け、街の「中」に住める人間と「外」に排斥する二分の世界。

中と外の区別はすべてスフィンクス社の判断にまかせられており、それに合わせた身分証明書(パペル)を発行できる。そのパペルがないと人は自由に行動できない。

また「ウィルス」を使用し、人間の記憶を、行動を、感性を自由自在に操れる。

スフィンクス社の規律46番目(CODE46)が、同じ遺伝子を持つものはすべて親族身内とみなし、生殖行動は禁止する、というもの。

スフィンクス社のパペル製造工場から、偽造パペルが密流している事件を追いにシアトルから上海にやってきたウィリアム(ティム・ロビンス)とその工場で働き、偽造パペルを密売している女性、マリア(サマンサ・モートン)が出会う。

上海の街を近未来と設定したところからして、もう、いわゆる「特撮SFもの」ではありません。

人々の生活も道具もほとんど変わらない風景です。

しかし上海の「中」の街の検問を越えると砂漠が広がる「外」の世界。そのざらざらとした、またネオンがまたたくけだるいような寂寞感があふれる世界の中で出会う「中」の男と「外」の女。

サマンサ・モートンは少年のような髪型、表情、しぐさでとても中性的で、孤独が瞳に宿っている・・・もう表情がいいですね。瞳の瞳孔が猫のように開く一瞬の映像。クラブで踊る光と影の映像。寂しげに笑う口元。ちょっとハスキーな声。夢の中の電車の中をさまよう時の不安と寂しさが同居する固い表情。

ティム・ロビンスは、マリアに「あなたの悲しげな顔がすき」と言われてしまうように、仕事に疲れたような疲労感を全身に漂わせています。この2人、身長差があって、サマンサ・モートンはティム・ロビンスとは30cmは差があるのではないか、という2人が寄り添って寡黙に歩くシーンがとても好きです。

2人の背景となる上海の街がなんとも切なくて美しくて汚れている。

美しさと汚れが同居している・・・のが監督の描く未来です。ひとつの国でなく「会社」が人間を管理している世界。

言葉も英語だけでなく、「サラーム」「グラシアス」など世界の言葉が混じり合っている、という細かいところがまた不思議世界をかもしだしています。

淡々としているけれど、残酷さと切なさと哀しさが同時に存在する映画全体の空気がとても独特で観ていてなんともいえない気持ちになるのでした。

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