スゥイング・ガールズ
2004年8月19日 銀座 ヤマハホールにて(試写会)
(2004年:日本:105分:監督 矢口史靖)
前作『ウォーター・ボーイズ』で男子のシンクロナイズド・スイミングを描いた矢口監督の対になるのは女子のジャズビッグバンド・・・吹き替えを使わずに本格的に役者がやる、というのは同じです。
しかし、矢口監督の映画に出てくる女の子は、どちらかというとサバサバしていて男の子っぽい。『ウォーター・ボーイズ』の男の子たちは異性、女の子をとても意識していたのですが、そこに出てくる女の子たちは強くてむしろ男の子たちの方が奥手でした。
スゥイング・ガールズの場合、男の子にもてたいから・・・という動機ではないのですね。純粋にジャズってなんかよぐねぇ?っと音楽に目覚めていくのです。楽器の指導をするナカムラくんはどちらかというと異性の対象にならない、女の子たちのお友達という関係。異性への興味を極力排除してしまっているのがいいですね。(ちょっとはありますが)
このスゥイング・ガールズ(正確にはSwing Girls and a Boy)たちがジャズに目覚めていく様子がとてもテンポよく無理なくコロコロと話は転がっていきます。
学校には立派な吹奏楽部があるのに、何故、数学の補習を受けていた女の子たちが楽器をやるはめになるのか?どうやったら高価な楽器が手に入るのか・・・その辺のシャキシャキとしたテンポよい語りは観ていて気持ちいいですね。
特にイノシシのところ・・・あきらかに剥製とわかるイノシシの使い方は大笑いです。
やる気のない子がひょんなことから、知らない世界に目覚めて、いつのまにか心身ともに成長していく・・・というのは矢口監督の『ひみつの花園』からあまりかわっていないですし、女の子をイキイキとさせるのがとても上手い。上手くいかないことが出てきても、挫折に苦悩することなく、突破口を見つけていく強さ、心地よさ。
そしてスゥイング・ガールズは大舞台に立つわけですが、決してコンペティションとか競技会などで優勝する、勝つ、というのが目的ではなく、練習の成果を見せるだけいうのがいいです。
『ロボコン』はロボット・コンテストを勝って勝って勝ち抜く気持ちよさですが、これは勝つとか負けるとか、そういうことを描いているのではないですね。
東北を舞台にしているので、言葉の「なんかよぐねぇ?」と今時の女の子たちでありながら、なんとなくやぼったくも可愛らしいのが、女の子イキイキのもう一つの要因かもしれませんね。
『ひみつの花園』の主演の西田尚美ちゃん、ここでもちらりと出てきます。コントラバスの女性。また、西田尚美ちゃんで映画作って欲しいのですけれど・・・。
更夜飯店
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