スパイダーマン2

スパイダーマン2

Spier-Man2

2004年8月4日  新宿ヲデオン座にて

(2004年アメリカ:124分:監督 サム・ライミ)

アメリカンコミック原作ものっていうのは、意外とダークです。『X-MEN』しかり、『ハルク』しかり。

自分が望まない「能力」に翻弄されてしまう苦悩というのが色濃く出ている場合が多いのですね。

この『スパイダーマン』は一番、苦悩する青年の青春物語なのですが、2作目なんかよりいっそう「青春映画」なんでありました。正義のヒーローの「ダメ青年ぶり」がこれでもか、と描かれる前半なんてしみじみします。

自分がスパイダーマンであるということが、誰にも言えず、恋人もあきらめている上に(ここまでが前作ね)、冒頭のピザのアルバイトをする生活に苦しんでいる苦学生ぶりが・・・可笑しいやら、かわいそうやらで・・・。

ピーター・パーカー君というのは実に「タイミングの悪い男の子」なんです。街を歩いていて事件があると駆けつけずにいられない正義のヒーローゆえに、バイトにも、大学の授業にも、約束にも、遅刻、遅刻の繰り返しで周りの人から信頼されない。

新聞社のパーティの写真撮影の仕事をまかされても、なんともタイミング悪さが細かいところに出てきて(飲み物をとろうとすると・・・必ず、さっと誰かにとられてしまって飲み物にも食べ物にもありつけないのが繰り返して出てきたり)・・・とほほ。

'You are late.'とあっちで、こっちで言われるのに、本当のことを言えない、モゴモゴと言い訳してますます相手を怒らせるやるせなさったら。それをユーモアを交えて描くのが上手いですね。そして、スパイダーマンになれば、あのビルの谷間をヒュンヒュンっていう爽快感との融合のさせ方、こっちの「タイミングの良さ」には感心します。

エレベーターの中での気まずい雰囲気とか、大家さんの「家賃、家賃!!!」という取り立てとか笑ってしまうなぁ。

あとバート・バカラックの曲!!おまけに手術室のシーンなんか、ホラーだし。(サム・ライミ監督だからねぇ)

今回の悪役、Dr.オクトパスも、全くの悪ではないし、ヤマタノオロチみたいな4本足も、手のかわりに帽子をとったり、葉巻に火をつけたり、表情があって・・・ペットみたいなかわいらしさ、ユーモアがあふれているし、動きも笑ってしまうよ、ほんと。

しかし、今回はあちこちで素顔をさらす、という場面が出てきて、そのことで市民が手をさしのべるシーンとか、なんだかんだいってスパイダーマンを応援している編集長とかじ~~~んときます。アクションと特撮とユーモアとやるせなさと何気ないところに出てくる人の温かさとか・・・それていて「つめこみすぎ」でなくテンポよく、粋な台詞に、緩急わきまえているのがとても好きな所です。(ラスト近くの編集長の「キャビアの蓋は開けるな」とか・・・ビリー・ワイルダー映画の台詞ですよね)

親友の御曹司、ジェームス・フランコの「単純さ」ってどうにかならんか、と思いつつこれは3作目への布石なのでした。

軽くなく、明るくなく、ダークであってもウィットとユーモアを忘れないって所が、観ていて楽しい理由でしょうか。

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