オールド・ボーイ
Old Boy
2004年9月28日 虎ノ門 イイノホールにて(試写会)
(2003年:韓国:120分:監督 パク・チャヌク)
昔、『凱旋門』というフランス映画を観たときに、復讐の物語ですが、主人公は復讐の意図を伝えず相手を殺してしまって、これでは「復讐」にならないのでは?なんて思った記憶があります。
その点、この映画はズバリ、復讐&思い知らせるを徹底させてます。タイトルも二重の意味があります。
そして復讐者=被害者ではなく、それが何重にも重なっている重厚さ。「徹底」の映画でしょうか?
うだつのあがらないサラリーマンの男が突如誘拐され15年も監禁され、いきなり放り出されてしまう。そして謎の人物が「何故、こういうことになったのかを5日間でつきとめてみろ」と接近してきます。
何故、何故、何故????観客もさっぱりわからず、主人公、オ・デスと共に、何故探しをすることになります。
不本意な監禁への怒りから復讐を誓うオ・デスですが、どうも周りの雰囲気が変だ・・・何かがおかしい、納得いかない・・・そのたたきかけ方が凄いですね。目が離せません。あらゆる所にヒントがあるような気がするのです。
そして少しずつ手を変え品を変え、じわじわ近寄ってくる謎の人物の不気味さ。また、15年間の監禁とその意味の巧みさ。
特殊撮影、画面分割、フラッシュ・バックと映画ならではの手法の使い方がとても上手いです。これみよがしな使い方をしていないのですが、実によく出来ていると思います。
チンピラたちを次々とオ・デスが倒すのを肉弾戦でワンシーン・ワンカットで撮影しているのですが、カメラはゆっくりと左から右へ流れるように動く。過去にヒントを見つけて、青年時代だった自分と今の自分が交錯するカメラワーク、謎の人物の徹底したセレブな生活ぶり。
オ・デス役のチェ・ミンシクはもう名優ですが、体重を10キロ増やしての熱演。もう、ここまでやらなくてもいいのに・・・と思うくらい徹底した熱演ですね。なんでカンヌで主演男優賞とらなかったのかなぁ~と思ったのはタコを食べるシーンで感じてしまいました。
かなりバイオレンスな衝撃的な映像もあって、タランティーノ監督が絶賛したというのもうなずけます。それが生理的に気持ち悪いかというとどちらかというと重厚さ、美学に思えます。
謎の人物・ウンジン役が好青年役が多かったユ・ジテなのですが、イメージがらりと変えて、さすが韓国の男優さんは巾が広いです。原作は日本の漫画ですが、映画的な巧みさがとても印象に残る映画でした。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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