お父さんのバックドロップ

お父さんのバックドロップ

2004年9月27日 銀座 ガスホールにて(試写会)

(2004年:日本:98分:監督 李闘士男)

原作は中島らもの同名小説です。

はっきりとした映画ですね。言いたいことはすぱっと言うし、映像も素直で凝ったことをしていません。それが気持ちいいというか。

「新世界」プロレスの(ドサ回り)プロレスラー・下田牛之介(宇梶剛士)を父に持つ小学生の一雄(神木隆之介)は、プロレスが大嫌い。

プロレス、プロレスばかりで家庭を、死んだ母をおざなりにした・・・しかもお父さんはヒール(悪役)に転向・・・これがかなりやりすぎ・・・になってしまったから、転校した学校でも父のことは秘密。

牛之介は40すぎてもプロレスへの熱情は変わらないのですが、周りの人々、マネージャー(生瀬勝久)は経営の苦しさにいつも頭を悩ませ、プロレスラーたちと対立する。この生瀬勝久のうさんくささと男らしさと頭の良さが同居している風貌いいですね。

きれい事ばかりじゃやってけないんじゃ、この世界。

同僚(?)のうだつの上がらないプロレスラー・マツヤマも先が不安で辞めようかと悩む・・・でも、プロレスを馬鹿にするサラリーマンには怒って叫ぶ。おまえにプロレスの何がわかるんじゃ!!

笑って泣いてという大阪を舞台にしたドタバタプロレス・ファミリー映画ですけれど、このマツヤマの叫びに思わず涙が・・・何の仕事でも趣味でも、な~んも知らない奴に口だされると腹たちますね。この「プロレス」という言葉を仕事や趣味(私の場合、映画とか)親とか・・・置き換えることが出来ますね。。真剣に取り組んで、悩みや痛みを知っていることを軽んじられたことに対しての怒りです。

一雄役の神木隆之介君はできすぎのような男の子ですが、一緒に住んでいる祖父(チャンバラトリオの南方英二)がまたいいですね。優しいお祖父さんというより、うさんくさい、きったない爺さんなんですが、「わかっている」のです。

一雄に「親の気持ちを子供は考えてやらにゃいかん」なんて言ったりします。

宇梶剛士のヒールぶりも笑えますが、本気でやってる人を笑ってはいけないような・・・そんな気持ちになりました。

そして最後はお父さんのバックドロップ!でさわやかな終わり方になっています。

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