モーターサイクル・ダイアリーズ
The Motorcycle Diaries
2004年9月21日 スペースFS汐留にて
(2003年:アメリカ=イギリス:127分:監督 ウォルター・サレス)
冒頭「これは偉業の物語ではない」と出てくるように、革命家・チェ・ゲバラが、めりめりと革命思想に燃え上がる(?)映画ではありません。
23歳と29歳の2人の青年がブエノスアイレスから出発してバイクで約10,000キロの南米大陸縦走する・・・という青春ロード・ムービーに近いです。妙にさわやかだぞ。製作総指揮はロバート・レッドフォードですからね。
バイク旅行といっても一台に2人乗り、大荷物を積んで、よろよろ、ばたばた、転びながらの珍道中に近いですね。
この映画は順撮り(映画の順番通りに撮影していくこと)されている、というのがとてもいい所です。
風景もどんどん変わっていく、悪天候にみまわれる、バイクは壊れてしまう、色々な人と出会う・・・そんな中でお金のない2人はどんどん汚くなっていくのですが、汚くなればなるほど、たくましくかっこよくなっていくのがとてもリアルです。これは順撮りした効果ですね。(最近では日本映画の『深呼吸の必要』が順撮り映画)
真面目で正義感が強くて嘘なんてつけない若いエルネスト(チェ・ゲバラ)に対して相棒のアルベルトは嘘も方便、
上手いこといって世間を渡るタイプ。
旅で困った時に危機を脱出できるのはアルベルトの臨機応変な嘘やお芝居のおかげでこの2人の対比というのが、さりげなく上手いですね。2人とも相当女の子にもてるのですが、ダンスになるとエルネストは全く駄目で壁の花、アルベルトは女の子と踊りまくるというシーンが結構あるのですが、そんな風景にも2人の違いがよく出ています。
2人の旅は平坦ではなく、アンデス山脈、砂漠、アマゾン川、そして無人のインカ帝国のマチュ・ピチュ遺跡・・・夏でも高地では大雪が降る。過酷な自然の風景が美しくもあり、壮大でもあります。風景がとても迫力で美しいのもこの映画の魅力。
そして2人はこの旅で変わるというより、ターニングポイントを迎えます。ラストのエルネストのスピーチにその内面の変化が出ています。
劇的な部分はさらっと流して、へんに盛り上げないけれど、旅や現実は厳しいですからだれることなく気持ちよい緊張感がうま~くブレンドされているのが上手いですね。
エルネストを演じたガエル・ガルシア・ベルナルが、人に慕われ愛されるのがわかる、優しいけれど頑固な若者、そして相棒アルベルトはチェ・ゲバラのはとこにあたるそうですが、ロドリゴ・デ・ラ・セルナでエルネストを叱りながらも旅を楽しんでいる様子などいいコンビぶりで、好演していますね。
私は2人がオンボロバイクでよろよろ走っているところと、無人のマチュ・ピチュ遺跡のシーンがとても印象に残っています。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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