17歳の処方箋

17歳の処方箋

Igby Goes Down

2004年9月15日 銀座シネパトスにて

(2002年:アメリカ:98分:監督 バー・スティアーズ)

監督の半自叙伝的なストーリーだそうですが、なんとも17歳っていうのは不便なものだ・・・と痛感する映画。

いわゆるティーンエイジャー・ハイスクール青春映画とは全く背を向けて、主人公のイグビー(キーラン・カルキン)は何もかもがgoes down。ギリギリ崖っぷちなのですが、なんせ、家がお金持ちだからイグビーは結局そこに甘える結果になっています。なんとも苦い関係ですね。

イグビー自身も協調性がなくて、嘘をつく癖が子供の頃からあり・・・・という面も描いているのでただかわいそうな男の子ものでもないですね。

なんとも大人をしらけて見ていて、「金さえあれば・・・」と安直に思っているあたりが難しい年頃なんだなぁ~なんて思いますが。

イグビーの家族はバラバラというより、もう立派な家族問題なのですが、もう修正できない所まできてしまっているみたいです。

母親のスーザン・サランドンが厳しいというより自分に甘くて他人に厳しいというヒステリックな性格よくやってましたね~。

また金持ちの名付け親、ジェフ・ゴールドブラムも金をいつもちらつかせていて、全く金持ちっていうのは・・・。

兄のライアン・フィリップもいかにも金持ち白人、将来はヤッピーって感じがよく似合いますね。

キーラン・カルキンってイグビー等身大という感じですが、この年代の反抗的な態度や気持ちってなかなか難しいものがあって、ヤな家族だなぁ~と同情もするけれど、イグビーもきちんとしなさい!って気持ちもあって、そこら辺の配役が上手いのと、脚本がなんとも軽いのであまり暗い気持ちにはなりません。そしてそれが即、共感にもならない距離の取り方ですね。ある程度距離を持たないと見ることができないギリギリの17歳を描いていて、私は好きですね。

余談ですが、夏目漱石の『坊ちゃん』で主人公はやはり兄と上手くいかない。親は兄ばかり可愛がる。そして坊ちゃんと兄は決別するしかないのですが、坊ちゃんには清というべたべたに坊ちゃんを肯定し、かわいがる存在というのがありました。

最初は清を疎ましいと思う坊ちゃんですが、経験を積む内に清の「ありがたさ」を自覚するようになるのですね。イグビーには清はいない。そこが問題かもしれないですね。

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