ロード88[出会い路、四国へ]

ロード88[出会い路、四国へ]

2004年9月13日 千代田区公会堂にて(試写会)

(2004年:日本:110分:監督 中村幻児)

四国お遍路88ヶ所めぐりで出会う人々のロード・ムービー。四国観光映画でもあります。

主人公、明日香(村川絵梨)は白血病ながら何かをしたい、成し遂げたいという思いから、周囲の反対を押し切って四国へとやってきます。

同じく、色々な理由でお遍路をすることになるのが、テレビのバラエティ番組で(落ちぶれた)芸人(小倉久寛)が自転車で回るという企画で来たテレビ局の人々。訳あって逃げてきた男(長谷川初範)の3組がそれぞれ旅を続けながら・・・外へ目を向けていくというとても素直な映画です。

しかし、私が一番興味深かったのは、かつてテレビの電○少年で、ヒッチハイク大陸横断旅行をしたのが明らかにモデルとなっているテレビの人たち。ディレクターの園田(津田寛治)は電○少年のTプロデューサーのごとく、芸人に厳しい。

「イヤなら、やめてもいいんだよ、かわりはたくさんいるから」と弱音を吐く芸人に冷たく言い放つ。手厳しさに腹は立つけれどもやめることは出来ない芸人の情けなさ。なんとも屈折した人間の固まり。

主人公の明日香が迷うことなく路を行くのに反して、他の2組はあれこれとしがらみから離れられないというのが、この映画が単なる病気もの、でなくしていると思います。

私は四国というのは行ったことがなくて、詳しくないのですが、その辺も丁寧に撮っていますね。

主人公だけの話だったらよい子すぎるところ、脇の人たちが深みを出しているというか。そして3組のお遍路がゴールを迎える時は、それぞれ違っているけど何かが変わっている。そこをあまりくどくど描かなかったのもいいです。

特にディレクターの津田寛治が、比較的素直でわかりやすいキャラクター達の中で、「何考えてるのかよくわからない業界のヒト」を好演していました。なんか、いやらしいのよね~。常に「テレビ的」なこと考えてる・・・でもね・・・という所がとてもいいです。長谷川初範を追っている謎の人物、岸谷五朗もうさんくさくて、笑ってしまいましたね。妙に丁寧で腰が低いのに威圧的だったりして。そういう脇の使い方が上手い映画です。

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