娘道成寺~蛇炎の恋~

娘道成寺~蛇炎の恋~

2004年9月3日  銀座 東劇にて

(2003年:日本:110分:監督 髙山由希子)

歌舞伎をメインにもってくる映画ってめずらしいですね。この映画では中村福助さんの「京鹿子娘道成寺」が舞台で、高野山で堪能できます。監督って本当に歌舞伎が好きなんだなぁ、というのはこの踊りのシーンでよくわかります。

ここまで歌舞伎の舞台をスクリーンに持ってくるのは大変なことですよ。。。

歌舞伎役者というものの厳しさはよく描けていたと思います。男を捨てること、女になりきること、舞台で踊ることが全てであること、個人の感情をはさむ余地なく役になりきること。そして伝統という厳しい型の中での表現。

また、歌舞伎の世界を飛び出して大衆演劇の女形として別の道を行く男(風間トオル)の存在。

そこに牧瀬里穂演ずる女性がからんでくるのですが、なんともこの「ドラマ」の部分が浅いのでした。男女の恋愛の憎悪の果て・・・娘道成寺の清姫になる女、を描くには綺麗すぎて無理がある設定、台詞の数々なんですね。

歌舞伎役者に生活感がないのは納得なのですが、生身の人間、女を象徴させる役が、生活感のない綺麗事だらけでは。そこに無理をどうしても感じてしまいます。なんか牧瀬里穂さんは一条ゆかりの漫画「デザイナー」のヒロインみたいに現実味がない。(わかる人だけわかってください)

これだけ歌舞伎の世界を映画に持ってきのは本当にいいことなんですけど、福助さんの弟子・秀次が歌舞伎の世界をめざす話にすればまだよかったのに・・とか・・・余計な事が頭に浮かんだりして。

監督が女性、男性に限らずその人のセンス、なんですよね。

生け花の展覧会というのが年に一度あるのですが、女性が多いのでどうしても、私はお花大好き♪「綺麗綺麗」な生け花か、いかにも、女性、主婦らしいアイディアか・・・がとても多く、そういうのが一遍に並ぶと即、没個性になってしまうのですね。

そんな中で、たまに「これはおもしろい!」という独創性が目を引く作品っていうのがたまにあるのですけれど、この映画はセンス的には歌舞伎大好き女性の観点ですね。独創性まではいかなかったかなぁ。残念。

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