ブラック・ボードー背負う人ー
2004年10月7日 ビデオにて
(2000年:イラン:85分:監督 サミラ・マフバルマフ)
監督の妹、ハナのドキュメンタリー『ハナのアフガン・ノート』で姉・サミラの強烈な映画へのアプローチに圧倒されてしまったので、この映画もあんな風に・・・・なんて思わせる厳しい、真面目だけれど詩情性にあふれた世界再び、でした。
イランとイラクの国境地帯で、大きな板を背負って歩いている男達。彼らは先生で黒板を背負って教える子供達を探して旅をしているのです。美しくてユーモラスで独特な個性を感じますね。
映画はその内2人の先生に焦点をしぼっていきますが、厳しい過酷な世界で「勉強しませんか~読み書き、算数覚えませんか~」と熱心に言って歩いても、誰もそんな余裕がないのを先生、あきらめずに「教えるよ~~~、役に立つよ~~~~」と生徒を求めて三千里。
描いているのはとてもシビアな世界なのですけれども、発想がユーモラスです。原案・脚本は父のモフセンだそうですが、サミラの目は厳しくも優しく、熱意にあふれています。
勉強しなさいって言ってもしない子供じゃなくて、勉強するという基本の考えがないのですね。
そこを色々工夫して騒ぎに巻き込まれながらも黒板背負ってよろよろついていく先生の姿は真摯で、かわいいなぁ~って思います。
老人たち、女たちにも教えようとしても利用されたりして、結婚までさせられて・・・・でも、教える!っていう姿。
なんとも寂寞感と人間愛に満ちたサミラの目って若い人ですけれど、常人離れした深さを感じます。「わたしはあなたが好きです」と書かれた黒板の行方は???サミラは行き先を見据えてあえて切っていますね。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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