東京タワー

東京タワー

2004年12月22日 イイノホールにて(試写会)

(2004年:日本:126分:監督 源 孝志)

東京タワーがいつも見える所に住んでいる人々・・・・という所からして、もう江國香織の「ハイソな人々」の世界ですね。

夫(岸谷五朗)がいて、実業家としても成功して裕福な暮らしをしている41歳の詩史(しふみ)(黒木瞳)の目下の恋人は大学生の透(岡田准一)、そして透の友人の耕二(松本潤)の恋人もやはり、夫を持つ35歳の主婦、喜美子(寺島しのぶ)です。

いわゆる不倫というものは、結局「自由な時に会えないつらさ」が不満として破局を迎えることが多く、この2組のカップルもいつもそんな「いつ終わってもおかしくない」という不安な雰囲気を持っています。

純粋に詩史を好きになってしまう透に対して、過去にも年上の女性に手を出して不幸を巻き起こしたことのある耕二は、「遊び」としか考えていなくてとても身勝手。

そんな年下の恋人に、振り回されたり、振り回したりという喜美子の寺島しのぶがとても良かったですね。

黒木瞳はなんとなく今だに世間知らずのお嬢様タイプに対して、喜美子は今の生活に不満だらけで、気が強い、やられたらやりかえすタイプの女性で、同じ女性から見ると、喜美子の怒りはよくわかるし、耕二に対して後半、どんどん仕返しをしていく・・・しかしそれは愛情の裏返しという複雑な女性心理をよく出していて、綺麗綺麗な絵空事的な詩史と透のカップルより、見応えがあります。

この耕二と喜美子がいなければ、この映画はとても空々しい物になっていたと思いますが、その点さすが寺島しのぶであります。

詩史の夫、岸谷五朗がいつも無表情で、知っていても知らぬふり、そして透にプールで迫るシーンが美しく、とても怖いですね。

四季折々の東京タワーが出てきますが、お互い東京タワーが見えるところにいるのに、いる場所は違うんだね、、、とつぶやく透を演じた岡田准一はもう、完全にぬれぬれ黒い瞳の子犬のようで、『木更津キャッツアイ』のぶっさん役で、どりゃ~~~~っと暴れていた姿からは想像できないいい子ぶりです。

東京の風景をとても綺麗に撮っているし、こんな年下の恋人がいたらなぁ~という女性心理をくすぐるだろう、と思いますが、そんな年の離れた恋のつらさの方が身にしみましたね。 

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