笑の大学
2004年12月22日 日比谷シャンテシネにて
(2004年:日本:121分:監督 星護)
三谷幸喜脚本というのは、壮大なロケや背景、風景よりも密室的な空間での人間同士のやりとりを通して、少しずつ立場が変わっていく面白さ、というのが好きですね。
ここでは昭和15年の喜劇芝居の作家・椿一(稲垣吾郎)と検閲官・向坂(役所広司)の2人の一幕舞台もの。ほとんどが検閲室での2人のやりとりです。
検閲官を演じた役所広司の上手さがなんといっても見所。一度も笑ったことがない、喜劇なんて全く興味ないそんな堅物の検閲官の注文に答えながら、結局、「笑わない人を笑わす喜劇」を作り上げてしまうという皮肉ですね。
役所広司が、堂々としていて、威圧的、とにかくこのご時世、笑いなんて不謹慎だっ!と怒鳴りつけるその迫力がすごい。
対する劇作家、稲垣吾郎は、がんばりました、という感じですが、後半、2人が脚本をめぐって白熱してくると部屋の中をカメラがぐるぐる回ったり、狭い空間上手く使っています。
とにかく怒っている向坂にすかさず、合いの手を入れる椿の会話の間の絶妙さがとても細かいですね。
余談ですが、初監督作品『姿三四郎』で黒澤明監督もやはりできあがった映画に検閲官がとにかく口をはさんで大喧嘩した、という逸話もあり、こういうことはまんざらフィクションの世界でもないわけですね。
更夜飯店
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