パパは出張中!

パパは出張中!

Otac na sluzbenom putu

2005年1月29日 ビデオにて

(1985年:ユーゴスラヴィア:136分:監督 エミール・クストリッツァ)

第2次世界大戦が終わってからのサラエヴォに住む、四人家族を通して、ユーゴスラヴィアの戦後をさりげなく描いています。

といっても視点、語り手は6歳の次男、マリクの目で語られます。

お父さんは、出張が多いのですがしっかり愛人作ったりしている様子。奥さんはそれになんとなく気づいているけれど口には出さない。

しかし共産政党の反感をかったらしい父親はどこかへ強制的に拉致されてしまう。

その何故ははっきりとは描かれないのですが、母親は子供たちには、お父さんはまた出張中なのだ、と言い聞かせるわけですが・・・しかし子供の目ってそうそうだませるものではなくて、なんとなくわかってしまう子供たち。

そんな離ればなれになってしまった家族のあれこれ、をとても丁寧に描いていますね。

子供の目から見た大人、というより、大人たちの背中をじっと見ている子供という雰囲気です。

ささいな会話の積み重ね、家族関係、喧嘩、和解・・・その背景にあるのはチトー大統領の政権が共産主義から民主主義に変わる境目なんですね。

マリクという少年が、ちょっとぷっくりしていて、夢遊病の気がある。共産党の大会で知事の前でのスピーチが上手くできなかった後に、えぐえぐ・・・と泣いてしまうその泣き方とかとても自然で可愛らしいというかリアルな6歳?。

お父さんも浮気者ではあるのですが、いい父親でもある。親としての責任感はしっかり持っているという視線がいいです。大人たちの難しい人間関係なんかもとても自然に上手く描いています。

他の映画のような映像マジック的なことはせず、じっくり腰をすえたような落ち着きと奥行きのある映像が、とても重厚で、ある一家を単にスケッチしただけの映画ではないですね。

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