アンダーグラウンド
Underground
2005年1月26日 DVDにて
(1995年:フランス:170分:監督 エミール・クストリッツァ)
第一章「戦争」第二章「冷戦」第三章「戦争」・・・とすべての章が戦争なのですが、旧ユーゴスラヴィアの戦後50年の歴史なんですね。
第二次世界大戦中に地下へ潜った人々、武器を作りながらの一種の街になってしまう。外に出るときがあっても、冷戦中、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争まっただ中。・・・・地下の人々のほとんどはまだ第二次世界大戦は終わっていないと信じている。
アンダーグラウンドの人々というのは、私たちのことですね。家というアンダーグラウンドに囲まれて、外の世界では「なにかしらの戦争」が起きていても、日々の暮らしを楽しんでしまっている、というのを見つめる監督の視線はとても厳しいものです。
アンダーグラウンドの人々は、マルコという男の嘘の情報で生きている、その分、外の世界を知らないから無垢でもある。
しかし、映像が最初からユーモラスな世界の連続です。美術は「デリカテッセン」も手がけたミリャン・クリャコヴィッチ”クレカ”と知って納得してしまいました。ダークだけれど、凝っていて美しい世界。いつでもどこでも音楽・・・ジプシーブラスのバンドはついてくる。(水の中でもついてくる)結婚式は花嫁が宙を浮遊しながら登場。そして直接的な残酷さは一切出さずに、幻惑的な映像で戦争というものを描いています。
地上での映画撮影の監督がフランシス・フォード・コッポラそっくりだったりするのも笑えます。相変らず動物たちも登場。
しかし、ラストシーンは、これは歴代の名ラストシーンの1つに入ってしまう、ハッピーな雰囲気でいっぱいですが、なんと美しく、可笑しく、悲しく、したたかな人間像でしょう。エンドクレジットは「この物語は終わらない」・・・終わらない物語なんですね。
1995年カンヌ国際映画祭パルム・ドール大賞受賞。
更夜飯店
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