ステップフォード・ワイフ

ステップフォード・ワイフ

The Stepford Wives

2005年1月25日 有楽町よみうりホールにて(試写会)

(2004年:アメリカ:93分:監督 フランク・オズ)

フランク・オズ監督は「独特な世界を作り上げる」のが上手いです。もともとはパペット操作をしていた人(セサミストリートなど)ですから、自然さよりも、綺麗で可愛らしくておもちゃ感の漂う世界を作り上げる魔法使いみたいな人なんですね。ティム・バートン監督のような暗さはないです。

テレビ局の仕事を首になって疲れたニコール・キッドマンとマシュー・ブロデリック夫妻が越してきた街、コネチカットのステップフォードの街は豪華な家だけでなく、住人達もリッチで恵まれた人ばかり。奥さんたちは皆、白人で金髪でスタイルよく、綺麗な服を着こなし、夫につくし、家事をきちんとこなし・・・と良いことだらけなのですが、何かおかしい。何もかも出来すぎているのです。

見た目が綺麗なもの、裕福そうなもの、幸せそうなもの、自分につくしてくれる妻のいる居心地のいい家族。犯罪のない街。それはずばり「男の妄想」なんですね。

マネキンみたいな綺麗な奥さんたちに戸惑って、なじめないニコール・キッドマンですが、作家でずばずば物を言う女性、ベッド・ミドラーが良いですね。そして街の町会長みたいな、クリストファー・ウォーケンとグレン・クローズ夫妻。なんか出来すぎ夫婦で気持ち悪さの方が、突出してしまっています。

綺麗になりたい、裕福になりたい、自分に都合よくして欲しい・・・そういう欲望の見事な描き方とその結末のつけ方。毒と笑い・・・男の立場、女の立場、そしてゲイの立場の欲望を上手くからませていました。

家のインテリアなどもとても凝った綺麗さで、また妻たちの服も60年代の清楚なお嬢様ワンピースに綺麗な帽子・・・これは女性の欲望かもしれませんが、これの真似したい、憧れる~なんて思っちゃった女の人は最後に監督にぐさっと刺されるかも。私はこんな女の人たちに囲まれたらイヤだなぁ。

ニコール・キッドマンはショートヘアにブラウンの髪ですが、ステップフォード・ワイフに変身したときの金髪マネキン感もこの人ならではのものがあって、楽しいけれど、ベッド・ミドラーの変身ぶりもかなりいっちゃってて楽しいですね。

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