アレキサンダー
Alexander
2005年1月24日 新宿厚生年金会館にて(試写会)
(2004年:アメリカ:170分:監督 オリバー・ストーン)
マケドニアのアレキサンダー王が、東方遠征をして、世界征服をした英雄というより、生まれた時から、母(アンジェリーナ・ジョリー)の圧力下にあってなかなか自由にならない子供時代からして、ちょっとダークな影がさす人間くさい英雄像となっていました。
若くして、マケドニアから東方、アジアへの遠征をして次々に征服・・・・の道のりが延々と描き出されるのですけれど、民族大移動に近い移動
征服戦争の連続でどんどんアレキサンダーだけでなく、部下たちも疲労し、反抗の気持ちが出てくる泥沼にはまっていきます。
自分の帝国を作るんだ、という最初の大義名分がいつの間にか、すり減っていく。
どんどん東へ東へと突き進む、もう引き返すことのできない泥沼状態は、まるでベトナム戦争、または今、アメリカがしている戦争そのものに思えてしまいました。戦いのカタルシスよりもそのむなしさをリアルな映像で描いていますね。
アレキサンダーは「自由を与えているんだ」と何度も言いますが、そんなところも今の大国の大義名分っぽいところが、やはり社会派監督、オリバー・ストーンならではなのかしら・・・。
撮影はクレーン撮影を駆使、戦いのシーンは特撮使って迫力出していますが、どちらかというと映像の迫力よりも、人間同士の心理合戦の方が描きたかったのではないかと思わせる映画の流れですね。または異民族を征服していくむなしさ。部下たちは、なんとしてもマケドニアという国を広げたい訳ですから、征服した民族なんか自分の国の民なんかじゃない、という言い争いがでてきます。
当時はまだ馬に鞍がなくて、布や毛皮を鞍がわりにして何年もかけて遠征に行く・・・というのはリアルでした。
母、アンジェリーナ・ジョリーと父王、ヴァル・キルマーの演技が妙にねちこくて力入っています。
音楽がヴァンゲリスっていうところは大作感が漂っていていいのですが何分、人間として悩み、傷つき、争いをする苦悩を色濃く出しているのですかっとするヒーロー大作ではないことは確かです。
更夜飯店
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