黒猫・白猫

黒猫・白猫

Black Cat, White Cat

2005年1月22日 DVDにて

(1998年:フランス=ドイツ=ユーゴスラヴィア:129分:監督 エミール・クストリッツア)

映画は最初の5分を観れば面白いかどうかわかる、と石井克人監督が言っていたのですが、この映画は最初の5分でまさに、ぐっときました。

ドナウ川のほとりで暮らしているロマ(ジプシー)の父と息子。息子ザーレが望遠鏡であちこちを覗いている。そこに映るのは、川を行く船、ひとりでポーカーやってる父ちゃん、アヒルやヒヨコ、なんだか雑然としている街・・・もうその風景とザーレの表情だけでなにか楽しそうなわくわくする雰囲気があり、そしてぼよよ~~~んという独特な音楽がそれに拍車をかけています。

ダメな父ちゃんのヤバい仕事に巻き込まれてしまうテンポの良さからがらがらとザーレの無理矢理結婚になだれこんでしまう、話の転がり方。予期せぬ展開の連続。

何故かいつも現れる楽隊、何かというと画面を横切っていくアヒルの群れ。ゴッドファーザーの仕掛けだらけの車いす。壊れた車を食べているブタ。大木にくくりつけられていても演奏しているバンドの皆さん。テントウムシちゃんが切り株に入って逃げていく様。したたかな老人達。そして楽しい音楽。悲しい音楽なんてありません、音楽はいつも軽快で楽しげでなんだかおまぬけ。とにかくしたたかな映画です。

ものすごくデフォルメしているのですけれど、それが自然の風景にぴったりおさまって綺麗に映っているのはフェリーニの映画のよう。

とっても凄い展開ではあるのですけれど、いつでもゆる~い笑いに満ちていて、人間の生と死をブラックな笑いに持ち込む小物使い、そして人生はやっぱりハッピーなんじゃ~~~!という大団円を迎えるラスト。そして「Happy End」というクレジット。本当にハッピ~。

いや~本当に人生っていうのは素晴らしいですね。ゴッドファーザーがハンフリー・ボガードのファンでビデオで『カサブランカ』を繰り返し観ているのですが、「これが美しき友情の始まり」の台詞通り。

とにかくいつも麻薬でラリっているダダン兄のハイテンションが鍵かも。アバの「マニ、マニ、マニ~♪」の歌が爆笑もの。 

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更夜飯店

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