エメラルド・カウボーイ

エメラルド・カウボーイ

Emerald Cowboy

2005年1月14日 千代田区公会堂にて(試写会)

(2002年:コロンビア:123分:監督 早田英志)

実在の人物を描く映画はたくさんありますし、自分が製作、監督している「俺様映画」もあります。

が、しかし、この映画は「俺様映画」の頂点に立っているといっても過言ではないですね・・・

1970年代にアメリカ経由で、コロンビアに渡り、エメラルドの原石の買い付けから、コロンビア一のエメラルド王になった日本人がいます。その名は早田英志。

早田英志氏をモデルにして映画にするならともかく、これは早田社長が、ビバリーヒルズの豪邸を売って映画資金を作り、自分で脚本を書き、監督をして、危険なコロンビアでロケを敢行、しかも後半は自分自身として早田社長が自ら自分役として演技しちゃってます。

某書店のK元社長も映画作りに熱心になったことがありますが、さすがに自分が出るということまではしなかった・・・しかし、もうハヤタ社長は、何のてらいもなく「俺様映画」を作り上げてしまった。

コロンビアに渡った20代の頃はさすがに、役者さんを使っていますが、ばりばりのコロンビア人役者、ルイス・ベラスコという人が演じていますが、どうみても東洋人には見えないし、言葉もおかしい。しかし「全く東洋人ってのは・・・」といったやりとりを堂々とやっちゃう。

原石の買い付けの手ほどきをしてくれるのは、謎の美女だったりします。ふふ、ハヤタはエメラルド・カウボーイね!なんて台詞が・・・

買い付けから輸出産業を始めて、富を得るわけですが、ここらへんでハヤタ社長にスイッチ。もう、「俺様映画」ですから、とにかくハヤタは優秀で、高潔で正義の人です。

富を得れば、ねたまれる、誘拐や脅迫のターゲットにされる、しかも日本人という外国人への不信も絶えないのでハヤタ社長はいつも銃を持ったボディ・ガードに囲まれて移動。しかし、会社の不満分子(?)が暴動を起こすと、ハヤタ社長みずからが、その暴動への切り込み隊長になって立ち回りを演じてしまう。

鉱山に視察に行って、ゲリラの襲撃にあっても、「皆、逃げろ!」と自分が弾よけになってしまう。まさかねぇ~、それはないよね。

しかし、これがただのひとりよがりの自主映画ですか?というと、どんなにハヤタ社長が高潔です、と言い張っても、その風貌からは胡散臭さ、やくざくささがむんむんと立ち上っていて、珍妙な空気が満載。

そして、危険なゲリラが絶えないというコロンビアのロケの風景も想像を絶する風景。切りたった崖にはりつくようにして家が建っている。

原石の買い付けは、常に、その場の目で確かめて、即、現金で買うかどうか、どう値切るかのスリリングさ。

社長になってからも、ハヤタ社長にかかれば、一目で、む、こんな偽物!!!とわかってしまうのであった。

ただの自慢だけではない、普通の人じゃない異常さの迫力ってものがありますね。だから映画的、演技的には素人かもしれないけれど、うむを言わせないハヤタ社長のお人柄がよくわかる興味深さあり。だんだんハヤタ社長がかわいく(?)なってくるのが不思議。

普通の人とは違う発想だからこその、俺様映画。やるならここまでやり通せば、誰にも真似できない個性になりますね。

いや、どうしても憎めないんです、ハヤタ社長・・・

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