恋に落ちる確率

恋に落ちる確率

Reconstruction

2005年1月6日 シネセゾン渋谷にて

(2003年:デンマーク:92分:監督 クリストファー・ボー)

コペンハーゲンの街で、1人の男が美しい人妻に出会って恋に落ちる。

そこまではboy meets girlな展開ですが、それからの展開が、なんとも不思議に満ちた世界。

ザラザラとした茶色っぽい粗い目の映像、登場人物たちが今どこにいて・・・というのを地図を俯瞰した映像で表現する。

そして、その人妻と恋に落ちたあと、彼、アレックスの周りの人は、同棲中の恋人ですら、アレックスの存在を「知らない」と言い出す。アパートに戻れば、部屋はなくなっている。

そんな戸惑いと孤独にさいなまれて街をさまよう男と、年の離れた夫と決別するか・・・悩む女。

時間軸のずらし方が、とてもアンバランスで安定していますね。さっき話ていたことを、もう忘れて、いきなり「はじめまして。お名前は?」と聞かれる時の失望感・・・気持ちがどんどん追い込まれていくつらさ・・・しかも女の夫は作家で、どうも、これはその作家が書いている小説のストーリーでもあるような気もしてきます。

そんなふらふら感をず~~~っと持ったまま、孤独にさいなまれても女を捜していく男の姿は、何も目標がなくて、誰も頼りにならなくて・・・という「不安」そのもの。その不安の雰囲気の出し方。観ている方も展開を見守りながらも、不安を共有するような、コペンハーゲンの街を不思議の街に変えてしまうマジックを観ているような、アンバランスなバランス感がとても個性的。

話の謎を追うよりも、雰囲気を満喫してしまいました。こういう世界感を出せる人って凄いなぁ~~~って感心しますね、最後には。

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