火星人メルカーノ
Mercano el Marciano
2005年2月28日 渋谷 UPLINK Xにて
(2002年:アルゼンチン:75分:監督 フアン・アンティン)
「これはディズニーではありません。対象は小さな子供ではなく、13歳以上なのです。」と監督のフアン・アンティンは言っています。
最初の火星で平和に暮らすメルカーノの世界は、手書きのぬりえみたいな世界なのですが、犬(火星犬)を散歩に連れて行こうとしたら・・・火星犬が地球から来た宇宙船の下敷きになってしまう・・・復讐のために地球に向かったメルカーノ。
着いた先はアルゼンチンのブエノスアイレスだった・・・ということからメルカーノの復讐が始まります。
復讐といっても誰に???そして考えついたのは、インターネットでヴァーチャル世界を作り上げるという作戦。それに企業が食いついてきて地球人は皆、インターネットのヴァーチャルの世界にどっぷりはまってしまう・・・そのヴァーチャルの世界が急に3Dアニメになったりするのですね。
緑色の楕円形の頭に○かいてチョンみたいな顔。黄色いたぷたぷの宇宙服を着て、ヴァーチャル世界を乗っ取ろうとする地球人たちに捕まって、実験材料にされそうになって脱出、追っ手をバンバン銃で撃つハードボイルド・メルカーノになってしまいます。
メルカーノが歩くブエノスアイレスの街の様子が、浮浪者や麻薬の売人がうろうろしていて、火星ののんびり広がる世界と大違いなところ、だんだん、メルカーノが残虐性をおびてくるところ、世界中の人たちがヴァーチャルの世界にはまりこんでしまうところ・・・今の地球の危機のようなものが、しっかりアニメとはいえ描かれていますね。ある復讐の為に地球全てを巻き込むという考え方への警告。
メルカーノの近所の人(?)は、地球よりも発達した文明を持っていて、地球のメルカーノを観察しています。助けに行こうかどうか?のんびり口論するのが、とても可笑しい。
メルカーノの顔は線だけで、特に口は棒一本ひいただけで、言葉もわきゃわきゃわきゃ・・・で字幕が着くのですが、棒一本の口がとても表情豊かで、怒ったとき、困ったとき、笑ったとき・・・かわいらしいのですが、凝った映像が氾濫する中でこのシンプルな説得力・・・目からウロコが落ちるようでした。
そして迎えるラスト・・・ラストの一言がとてもいいのですね。ブラック・ユーモアここにありっていう感じです。
・・・それは「正解は○○でした」。あっけにとられる展開にしゃらっとこの言葉。パンチ効いてます。いや~好きですね、このアニメ。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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