ひまわり

ひまわり

2005年2月24日 DVDにて

(2000年:日本:121分:監督 行定勲)

行定勲監督の長編初監督映画。

学校でも職場でも印象の薄い人っていますね。

おとなしくて、自己主張がなくて、離れて時間が経てばすっかり忘れてしまう人。

輝明(袴田吉彦)にとって、朋美(麻生久美子)という女の子は正に「印象の薄い人」だった訳です。海難事故にあってニュースに名前が出たとき・・・すぐには思い出さないのです。

しかし、葬儀で集まった小学生時代の同級生たちも、同じような印象を持っています。「年賀状のやりとりくらい?よく知らない」

葬儀に集まった男達(光石研、北村一輝、津田寛治、堺雅人)から、聞く朋美の悪い噂。しかもどれが本当の朋美という女性だったのか、よくわかりません。

輝明が思い出す小学生時代の思い出。そして初恋。そんなものを大人になってから振り返る・・・麻生久美子はそんな「誰もが持つおぼろげな記憶」の象徴です。

ひまわりの花と種、金環日食を見た日、ドッジボール・・・でも朋美という女の子はどういう子だったのか?それは最後までわかりません。

麻生久美子の透明感と浮遊感と幸薄いような寂しげな表情。堺雅人のメイクアップ・アーティストにメイクしてもらう内に自分でメイクすることが出来なくなってしまった、というエピソードからわかるように、からっぽ感の漂う女性。

何が言いたいのか、何がしたいのか・・・それがよくわからない人。相手によって態度や話し方が微妙に違う人。そんな雰囲気がよく出ていました。

撮影はとても綺麗で、海辺で葬儀に集まった人々が並ぶ所など後の『きょうのできごと』の海辺のシーンの原型ですね。

行定監督は岩井俊二監督の助監督でしたが、はっきり、これは自分なりの『Love Letter』だと言っています。

遠い過去の初恋の物語・・・しかし、ひまわりの使い方などシンボリックな表現は独特ですね。

麻生久美子の、何か言いたげで、何も言わず、まっすぐこちらを見る視線がとても強く印象的です。

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