Ray/レイ
Ray
2005年2月22日 池袋テアトルダイヤにて
(2004年:アメリカ:152分:監督 テイラー・ハックフォード)
アカデミー賞が話題になるこの時期、一番の有力候補とされているのが、レイ・チャールズを演じたジェイミー・フォックスです。
本当にレイ・チャールズが乗り移ったかのような体のゆらし方、のけぞるような歌い方・・・だんだん本物のレイ・チャールズを見ているような気持ちになります。
この映画はレイが、子供の頃、母と弟と3人で貧しく暮らしていて、弟の死というものにショックを受けてその思い出から抜け出せないというエピソードがまず語られます。
そして病気で視力が衰え、目が見えなくなってしまうということになっても音楽で身を立てていく成功話・・・だけではないのですね。最初は、カントリーでもなんでもいいから歌わせてくれればいい・・・のですが、人気が出てくるとお金を儲けようとする人々が現れる。
良きパートナーとなる人もいれば、勝手にマネージャー気取りになってマージンをくすねようとする人たちも出てきます。
そして、まだ黒人差別が厳しく、バスなども「Colored」と別々の席に座らされるようにな時代、黒人のミュージシャンなんか・・・なのにヒット曲を出してくるとそれがいつの間にか「白人のもの」になってしまうような感じです。そういう視線があって、また、ヘロインを常用していて、中毒にまでなってしまう、結婚して自分は父親とは違う、家庭はひとつだと言っても、愛人を作ってしまう。
レコード会社の金がらみ移籍問題や、黒人差別問題、麻薬中毒問題など社会的な面も持っています。黒人差別反対のコンサートボイコットをしたために、1979年までジョージア州から追放ですよ。
けれども、レイは子供の頃過ごした、赤い土、緑の草の生えた村での出来事がどうしても忘れられない。
シーツの洗濯の仕事をしていた母の影が干したシーツにくっきり映るシーンの美しさ。
目が見えなくなったとき、母の毅然とした態度がいいですね。自分で自分のことはやる、そのために努力する、甘やかさない、時には厳しく接する母の姿がとてもりりしいです。立派な人だ。
レイの周りの人々が、母、妻、パートナー、まだまだストリート・ミュージシャンだったクインシー・ジョーンズとか、レイを甘やかさずに見守るという描き方が実はとても気に入っています。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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