ビヨンドtheシー~夢見るように歌えば~

ビヨンドtheシー~夢見るように歌えば~

Beyond the Sea

2005年2月17日 銀座ガスホールにて(試写会)

(2004年:イギリス=ドイツ:118分:監督 ケヴィン・スペイシー)

資料を見てちょっとびっくりしたのは、これはアメリカ映画ではなくイギリス=ドイツ映画だったということですね。

よくよく見たら共同製作と撮影は『真珠の耳飾りの少女』の人でした。

描かれるのはあくまでもアメリカのスタンダード・ポップスの名歌手、ボビー・ダーリンの37歳の生涯です。

製作、監督、脚本、主演をケヴィン・スペイシーがやっている「俺様映画」と思いきや、実に冷静にボビー・ダーリンという人を見つめ、また、映像として映画らしさ、そして50~60年代のアメリカのポップスや映画の雰囲気を上手く出しているのに感心してしまいました。歌やダンスのシーン満載。

ケヴィン・スペイシーは年齢的には若き日のボビー・ダーリンを演じるには年をとりすぎているようですが、そこは「かつら」をたくさん常備していたということで自分の容姿を若くしてしまうこと、ちゃんと潔くやってますね。

また、子供時代のボビー・ダーリンが、いつも「もう1人の自分」ドッペルゲンガーのように、映画の進行に一役かっているのもやりすぎず、シビアなシーンをファンタジックなものに変える、という観る側の生理というものをわかっているように思います。

ひとりよがりの暴走さはなくて、とても抑制がきいているんです。

全ての歌を吹き替えなしで歌い、ダンスシーンをこなしたケヴィン・スペイシーはもっと評価されるべき・・・かもしれませんが、ボビー・ダーリン自身、映画出演でアカデミー賞にノミネートされても受賞は逃した・・・ことにとても怒りまくるシーンがあります。

そんな時、グラミー賞とって、アカデミー賞にノミネートされて、念願のコパ(コパカパーナ)でショーが出来て・・・それ以上何を望む?と諭す、脇のマネージャー的存在のジョン・グッドマンの正にグッドマン、いいひとぶりがいやらしくなくていいです。

妻となるサンドラ・ディ(ケイト・ボスワース)の初めて会う時の初々しさもいいですね。

初々しくもあるのですが、常に母親がついていないと何もできなお嬢ちゃんでもあります。それが後の結婚生活に影を落とすことになるのですが。

子供の頃から体が弱くて、15歳まで生きられないと医者に言われた子供が、母の夢でもあるコパカパーナでショーをする、フランク・シナトラよりも上をいく歌手になる、夢に駆け上るスピード感もあります。

しかし、37歳という若さで亡くなった、そのシーンも語り口が上手くて、きちんとわからせる工夫があちこちに見られます。

10年間も構想を練っていたというケヴィン・スペイシーの夢もかなった映画なのかもしれません。

2人のボビー・ダーリンが踊るダンスがとても綺麗。特に少年・ボビーの踊りの上手さはね、びっくりしますよ。

また、ラストに母へ、と献辞が出るように、母と息子という親子の映画でもありますね。 

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