悦楽共犯者
Spiklenci Slasti(Consupiration of Pleasure)
2005年2月14日 ビデオにて
(1996年:チェコ:85分:監督 ヤン・シュヴァンクマイエル)
去年、ヤン・シュヴァンクマイエル映画祭で見逃してしまった一本。
この映画が終わったあとに、出てきた若い女性が「な、なんか凄くて、眠ってなんかいられなかった・・・」と言っていたのを聞いていたので、そのつもりで観ました。
しかし、この映画はいわゆる悦楽・・・・性的なものであっても、そうでなくても悦楽は人それぞれ違うのだ、ということを台詞を全く使わず映像だけできちんとみせています。
「悦楽共犯者」の皆さんは6人。女3人、男3人ですが、特に男3人が悦楽を得るためにあれこれ、準備や工夫や発明に必死になっているその課程が、物を作って動かすモデル・アニメーションのシュヴァンクマイエル監督らしい独創性とグロテスクでユニークさにあふれていて、思わず脱力笑いが・・・。
特に、羽毛、毛皮フェチの男性の作る物は、生活の知恵に近い・・・思わず笑ってしまう最近流行のリサイクル生活。
前半はアニメーションは出てこないのですが、皆さんがそれぞれ自分の悦楽準備が出来たとたん、そこはさっと人形を動かすアニメーションの世界に移って、露骨なグロテスクさや醜さは上手く避けています。やっていることは凄いのですが、目に映るものは滑稽に見えますね。そこら辺の計算というか、相変らずの個性が素晴らしい。
パン・フェチの女の人のあの不思議な鼻と耳の仕組みもどうなっているのかわからないけれど面白い。
6人の男女の表情がとても豊かで、平然としている男、うしろめたくてうしろめたくて・・・という目をする男、もう夢中で他に何も目に入らない男。密かな楽しみのために熱心になる大人の姿がまた滑稽。
誰にでも、人には言いたくない、密かな楽しみってあると思うのですが、それに「やましい」という気持ちが混ざることによって起きる喜悲劇ですね。6人は知り合いではないけれど、点と点を線でつなぐようにつながっている・・・仲間ではなく、やはり共犯者ですね。ラストはミステリータッチで終わるところなんか、上手いですよねぇ。
更夜飯店
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