プライド 栄光への絆

プライド 栄光への絆

Friday Night Lights

2005年4月27日 九段会館にて(試写会)

(2004年:アメリカ:118分:監督 ピーター・バーグ)

原題の由来は、アメリカではアメフトは、金曜日が高校生、土曜日が大学生、日曜日がプロの試合が行われる、ということで、この高校のアメフトを描いた映画は、金曜の夜が輝く、ということなんだそうです。

この映画の全体を貫いているのは、カリカリとした湿っぽさのないドライな視線、ドキュメンタリータッチでドラマチックな変な盛り上げは一切排除しているという姿勢です。潔い空気。

原作がノンフィクション小説だそうですから、アメリカ、テキサスの小さな街の高校のアメフトチーム、「パーミアン・パンサーズ」がアメフトの大会で栄光を目指す、その様子が、真実味があって、淡々としているようで底力の強い感動になっていると思います。真実だからこそ、の説得力。

街全体を上げて、毎週地元高校のアメフトの試合に熱中・・・店も「ただいま観戦中」という看板を出してクローズしてしまう熱狂ぶりというのは日本では見られない風景です。

たかが高校だよ・・・っていう気持ちもありますが、だんだん、この小さな街が、娯楽らしい娯楽もなく、街を出ていく者はいても、やってくる人はいない、ほとんどが、地元出身者で、「村意識」に近いものがある、ということがわかってきます。

アメフト部のゲインズ監督、ビリー・ボブ・ソーントンは、常に感情を出さない無表情、冷静さを持っていて常に上を目指すストイックな人物になりきっていました。今まで、ちょっとクセ者役が多かったのに、堂々たるストイックぶり。

しかし、応援熱烈なだけに、下手に負ければ、即、非難の嵐。娘が非難をあびながら「また、引っ越すの?」という一言でゲインズ監督一家は過去、色々あったのだろうとわからせてしまうあたりはとてもシンプルながら説得力あり。

選手である高校生たちも、アメリカンハイスクールライフを楽しんでいます・・・というよりも、キャプテンとして悩むマイク、一番有力だったのに怪我のために試合に出られなくなるブービーの不安、親のプレッシャーにいつも耐えているドン・・・と「地元の熱い応援」に常にさらされて負けそうになる17歳の高校生選手たちの憂鬱。

大人の無邪気な期待に、応えようとして、すくみあがってしまう子供。体は一人前に大きいのですがまだまだ、10代という感じ。

高校生で活躍すれば、大学からスカウトが来る、そしてプロになって金持ちになる・・・そんな夢もありますが、現実はとても厳しく、大学のスカウトたちの厳しい目というのも、とてもシビアに描かれていました。そして17歳という歳は一生で1年だけなのだ、という焦りもよく出ています。

映像がちょっとザラザラしたような感じで、華やかさとは無縁のリアルさ、ますますアップです。

弱いチームが根性で強くなって、スッキリ爽やか優勝する、という単純さはなくて、全ての試合に何月何日どこのスタジアムで・・・と字幕が出て、ひとつひとつの試合に勝って得るもの、負けて得るもの・・・最後の盛り上がりではなく、その課程が丁寧な映画です。

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