バッド・エデュケーション
La Mala Education
2005年4月27日 銀座テアトルシネマにて
(2004年:スペイン:95分:監督 ペドロ・アルモドバル)
『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』で、濃い女の世界を描いたアルモドバル監督の新作は、監督の半自叙伝的なストーリー。しかし、そこに描かれている「女の性」の強烈さは今回は同性愛という形で、さらに濃くなっているようでした。
映画監督エンリケ(フェル・マルチネス)の前に突然現れた小学校時代の同級生、イグナシオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)
イグナシオはエンリケ初恋の相手だったのですが、今、俳優をしているというイグナシオは自分が書いたというシナリオを見せる。
そこに描かれているのは、正に、エンリケとイグナシオの物語。
映画の中に映画が再現されて、またその中に映画のシナリオが出てきてというミステリー映画です。
イグナシオが書いたものはあくまでも、シナリオ、であって、事実と虚構が入り交じっている。それをどう見極めようかとするエンリケ。
特に後半は真実は何か、という謎説きのような展開になります。
映画を観ている観客は、エンリケが読みつつある映画をまた、映画として観る事になるわけですが、では、エンリケとイグナシオの実際とはどうだったのか・・・という語り口の複雑な構成はとても凝っていますし、同性愛という愛の形の中にある、憎悪、悲しみ・・・泥沼のような現実の厳しさを見つめる目というのは、相変らずです。
また、フェル・マルチネスのどこかおびえたような表情と、ふてぶてしくも繊細で、ある意味汚れ役をバンバンやる、ガエル・ガルシア・ベルナル、体張っています。映画の中でも、自分の俳優根性をむき出しにしますが、ただの子犬顔の若い子だけでは出来ない、遠い高い所をぴょ~んと飛んでいってしまっているような、飛ばし方をします。 いや、このくらいやってこその国際派俳優でしょう。
しかし、この映画の残すもの・・・それはむなしさ。重苦しさ。息苦しさ。苦さ。とても濃い世界を体験してしまったような気持ちがします。
この映画を観た友人が、ぽつりと言った言葉・・・それは「ガエル君、やりすぎ」・・・思わず苦笑・・・。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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