インファナル・アフェアⅢ終極無間

インファナル・アフェアⅢ終極無間

Infernal AffairsⅢ終極無間

2005年4月19日 丸の内TOEIにて

(2003年:香港(中国):118分:監督 アンドリュー・ラウ、アラン・マック)

「俺は警官だ」

このシリーズで、何度も色々な人の口から出るこの台詞、実はどれも間違いではなく、皆、警官・・・しかし、その立場は微妙に違っていて、わざわざ「俺は警官だ」と口に出さなければならない、また口に出せないやるせなさ、がこのシリーズの芯だと思うのです。

仮面をかぶっていることの苦しさ、息苦しさ、やるせなさ・・・そういったことを無間道という言葉で表しているのでしょう。

このシリーズ3部作は、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲでひとつの話、なのです。

まず、Ⅰがあり、Ⅱはその過去を描き、ⅢはⅠの隙間を描く。

ですから、本当だったらⅠとⅢを一本にして映画にできればよかったのですが、そこは、テレビシリーズではありません。

だらだらすることなく、ぴりっと映画に仕上げる。

最初にⅠとⅢのプロットがあって、Ⅰの撮影中にⅡのプロットができあがったという香港映画にしてはめずらしく最初から最後まで筋の通った作られ方をしています。

Ⅰの出来の良さもあるのですが、あえて隙間を残しておいてⅢにつなげるという手のこみよう。

日本では香港より公開の間があいてしまったので、できればⅠをじっくり再見してから、Ⅲを観ると何故?やこんなことがあったのか、という事がよくわかると思います。

シーンのつなぎ目がとても早い。ぱっぱっぱっと画面は花火のように切り替わっていきます。

編集はⅠから同じ、ダニー・パン。

話的にはⅠで全てが完結していますから、Ⅲをどう作るかは、とても難しいことだったと思います。

しかし、Ⅲで初登場する警察学校の首席卒業生・・・・首席だったのはヤン(トニー・レオン)だったけれど、マフィアへの潜入捜査官になるためにやむなく、警察学校を去る。その後釜に座ったのは・・・ヨン(レオン・ライ)だった、ということが初めて語られるわけです。

そこは脚本がしっかりしていないと、ヨンの存在は不自然そのものになってしまう訳ですが、その点、上手く映像でも語っているし、ヨン役のレオン・ライ(黎明)が、実に存在感のある雰囲気を醸し出しています。

ヤン(トニー・レオン)は、何故、精神科医リー(ケリー・チャン)にカウンセリングを受けなければならなかったのか・・・ラウ(アンディ・ラウ)はリーに近づいていきます。

そこで、リーを中心に右手にヤン、左手にラウがソファーに横たわるというというシメントリーの映像・・・ここがとても綺麗ですし、何故Ⅲまでひっぱったのか、ということも納得いきます。

Ⅲはわかりにくい、とは思いません。とても理路整然としています。

Ⅰを観ているという前提だから、当然余計な説明はない、それだけだと思いますが。

Ⅰ、Ⅱ、Ⅲが、独立した映画としても質が高いし、何度観ても発見があってその深さを楽しめるようになっている密度の濃さ・・・また、トニー・レオン、アンディ・ラウ、レオン・ライ他、香港映画のスターを惜しげもなく無理なく使っているところ、とても贅沢な映画です。

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