コーヒー&シガレッツ

コーヒー&シガレッツ

Coffee and Cigarettes

2005年4月12日 渋谷シネセゾンにて

(2003年:アメリカ:96分:監督 ジム・ジャームッシュ)

ジム・ジャームッシュ監督『ストレンジャー・ザン・パラダイス』がモノクロで独特の間を持つ一種の雰囲気映画的で、公開されたとき、「オシャレ」のような勘違いでもてはやされたのを思い出します。

確かに今までにない個性が人目を引いたのでしょうが、その後もジャームッシュ監督はメジャーから一切背を向けてインディペンデント映画、『ダウン・バイ・ロー』『デッド・マン』等を発表しました。まぁ、普通の商業映画を目指す人とは違う世界にいます。

世界の監督が集まった短編映画『10ミニッツ・オールダー』で監督の一人がジャームッシュ監督であると知った時はちょっとびっくりしたのですが、他の監督が短い時間にどれだけ映像を凝縮させるか、に熱心だったのに背を向けて飄々としていたのが、監督らしいなぁ、と思いました。

この映画も一見無造作で、色々な人の会話もアドリブのように見せておいて、実は凝っているという監督のひねくれぶりが楽しい映画です。

どの会話も、普通の映画で見られるようなすらすらとした会話ではなく、ぎくしゃくしていたり、話がバラバラだったり、突然会話に割り込んできたり・・・間の悪い会話って経験したことある人なら、うううう、わかる・・・っていう・・・そう、白けた空気が漂ってる空間です。

白けた空気の気まずい時間に必要なもの、それがずばり、コーヒーとタバコ。

昔、営業の仕事をしている人が、「商談に行き詰まった時はタバコしかないね」ってしみじみ言っていたのを思い出します。

いつもハイテンションで、激論、盛り上がる会話でなく、う~ん、なんだかかみあわないなぁ、困ったなぁ、なんだろうな~どうしようかなぁ~なんだよ、こいつ・・・白けた会話、11会話です。

共通点はテーブルの上に並んでいるコーヒーカップと灰皿を真上から撮るショットが必ず入ることと、そのテーブルが白黒の市松模様になっているところ。コーヒーだけでなく、イギリス人の時は、ちゃんと紅茶にしている心遣いが笑えるというか・・・皮肉というか。

タバコは今や世間の悪的存在。『ブルー・イン・ザ・フェイス』でジャームッシュ監督自身が出てきて、一本のタバコを前にして「この一本を吸って禁煙するから」といいつつも下らない会話をえんえんとして中々吸わない、というあの姿がどの会話にもうっすら見えるところが憎いです。

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