緑玉紳士
Monsieur Greenpeas
2005年5月18日 渋谷シネマライズにて
(2004年:日本:48分:監督 栗田やすお)
『ウォレスとグルミット』を始め、パペット・アニメを観るとまずその作る熱意に感動していまいます。その丁寧な手間暇がとても愛おしくなります。
これは栗田やすお監督が、ひとりで4年半かけて作り上げた48分。
しかも色合いや小物の凝り方、それから画面の構成・・・中途半端が全くないのですが、「どうだ、凄いだろう!」というイメージはないのです。
本当にこういう事が中途半端でなく好きでないと貫けないのですが、できあがったものはなんとも軽い、愛嬌のある世界。
栗田やすおさんって、センスがいいんだな、きっと。というか、クリエーターだから、あたりまえか・・・。
この世界は、一見昔のニューヨーク摩天楼街の裏道、のような作りなんですけれど、どこの国かわからない、言葉もわきゃわきゃわきゃという擬音だけの世界で、きちんと表情を見せることが出来ています。
音楽はベース音の効いたしゃれたジャズ。
ぺたんぺたんという足音や、クモがしゃしゃしゃしゃ~~~と走り去る音なんかも映画館の音響で聞くととても凝っています。
ある夜の物語ということでは『トッポ・ジージョのボタン戦争』を思い出します。無国籍で、音楽がジャズで、ちょっとダークな所も。
グリーンピースはトランクに色々なメガネを入れて売ってあるいている眼鏡屋さん。
メガネが、指輪を大きくしたような頭に乗っけるメガネである、というアイディアだけで、十分ひっぱられる「冒険」の数々です。
呪われたコインから生まれたメガネ大好き悪魔、ジョーカーにトランクをとられてしまったことから、グリーンピースはトランク奪回の為にジョーカーの住む世界にジャンプ・イン!
その入り口がスロットマシーンだったり、ジョーカーの屋上がトイレだらけ、しかも仕掛けだらけのトイレ・・・グリーンピースは時にはグリーンピース・シャーベットにされて、ジョーカーに食べられそうになったり・・・で私が一番、好きなのは、トイレ・エレベーターでの追いかけっこの時のトイレットペーパー合戦です。
もう、どうしたらこんな考え出てくるのかなぁ~ってあきれるくらい、物の使い方が上手い。箱庭のような世界でも、その箱庭は一個ではなく、色々な扉でつながっている、たくさんの箱庭なんです。
そして、ブーメランの所をはじめ、画面の構成がびっちり決まっているあたりも、見逃せません。
最後にこれはエピソード1と出てくるので、続編観たいです。あと5年くらいしたら観られるかな?
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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