バタフライ・エフェクト
The Butterfly Effect
2005年5月10日 科学技術館サイエンスホールにて(試写会)
(2003年:アメリカ:114分:監督 エリック・プレス、J・マッキー・グラバー)
「ある場所で蝶がはばたくと、地球の反対側で竜巻が起こる」
これがタイトルとなったバタフライ・エフェクトの意味でカオス理論のひとつ。小さな事が、大きな変化につながってしまう・・・まさにこの映画をよく表した優れたタイトルだと思います。
またレイ・ブラッドベリの短編で、「タイムマシンで太古の昔にタイムトラベルした男が、道を踏み外して蝶を踏んでしまい、現在に戻ってくると・・」というのがありましたが、アイディア的には同じものです。
主人公のエヴァン(アシュトン・カッチャー)が何者かに追われているサスペンス的な始まりから、少年時代の思い出に・・・そしてエヴァンは、すぐ記憶をなくすので医者から、日記をつけるよう言われる。
この日記が、後に成人したエヴァンの唯一の武器、です。
自分には記憶がない、何があったのかわからない、何故、周りの人が今こんな風になってしまっているのかわからない・・・それを日記を読み直すことで、過去に戻り、ひとつひとつの出来事を変えていくと、現在が変わっていく・・・。
いわば、時間もののSFですが、SFくさい理屈はなくて、エヴァンの気持ちが、最優先されているところが、むしろファンタジックで、先が読めなくて、何が出てくるのかわからないはホラー調。また子供時代の家族・人間関係などはダークです。
そして好きになった女の子を救う為には、母を救う為には、友人を救う為には、自分を救う為には・・・とAのことを直そうとするとめぐりめぐってBが悲惨なことになる。では、Bを救おうとすると、Aが不幸なことになっている、、、、という作りの上手さです。
自分に都合良くしたいのならば、道はひとつだけかもしれない。しかし真面目な性格であり、真面目な人間関係をよりよくしようと苦悩する青年の成長物語にもなっています。非現実的な設定ですけれど、ひとりの人物が世界を救う・・・そんなことよりも自分や周りの人物を救う、それがどんなに難しくて、苦痛を伴うものか・・・そういう視線が好きです。
アシュトン・カッチャーは、真面目な青年、悩む青年を好演していました。子供時代に記憶をなくしたとき、また記憶をさかのぼろうとすると脳に無理が来るのでしょうか、ぶくぶくと鼻血を出します。それがとてもリアル。
周りの人物も、エヴァンの記憶の操作で、ころころ変わっていく。その変貌ぶりも映画ならではの表現方法です。
そして変わらない人物・・・ルームメイトの太ったパンク大学生。この人、なかなかいい役やってました。外見によらず中身はいい奴。
ラスト、最終的にエヴァンがとった行動からくる現在。その切なさと美しさにあわせて流れる、オアシスの'Stop Crying Your Hart Out'という曲がとても雰囲気にあっていて、切なさ倍増。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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