逆境ナイン

逆境ナイン

2005年6月21日 九段会館にて(試写会)

(2005年:日本:115分:監督 羽住英一郎)

宇宙を飛ぶ謎の黒い板。そこに書いてある文字とは・・・・

そして「廃部だっ!」校長の一言で、いきなり逆境に立たされてしまう、全力高校野球部キャプテン、その名は不屈闘志(素晴らしくばからしぃ~)こと玉山鉄二。

「では、甲子園に出られればいいのかっ!」「おうっ!」・・・とまぁ、この映画の台詞には目に見えないけれど、かならず語尾に「っ!」がついているみたいです。

9人しかいない野球部、一人でも抜けたら「クラスのひまな人」に出てもらわなければならない逆境・・・次々と逆境に襲われてしまう奴ら・・・失礼、ナインは結構挫折知らずで、サッカー部の方が女の子にもてるよ・・・と聞けばころりと寝返る、バイトが入っちゃったんだよねぇ、テストで赤点、補習ですぅ。「逆境だっ!」とうめく不屈。

ひとりで不屈闘志君は語尾に「っ!」つけてつじつまあわなくてもなんでもいいのだっと突進する。かなり勘違いな方向に・・・。

そして校長の不敵な笑みと共に監督に任命された世界の頂点を極めた男、榊原剛(社会科担当→職員室の机にはハニワが並ぶ)(ココリコの田中直樹)の登場。

この監督は台詞は少ないけれど、「炎の決め台詞」をびしりと決めて、不屈をまた逆境に追い込む。

「野球は知らないが人生は知っている」「恋に恋する恋気分」・・・・そして極めつけの言葉は「それはそれ!これはこれ!」

茨城弁で、「ごちゃごちゃうるさく言う人」のことを「ごじゃっぺ」と言います。(ホントですよ)

もう、この世のごじゃっぺに言ってやりたい台詞、それが「それはそれ!これはこれ!」だっ!(って私まで「っ!」がついてしまいました。申し訳ありません。)

この映画は細かいシーンなんかとても凝っています。周りがストップモーションになって不屈だけがスローモーションになる特撮の仕方なんて、ティム・バートンの『ビッグ・フィッシュ』のサーカスのシーンよりクリアだったりします。

馬鹿馬鹿しい世界もここまで貫けば見事です。逆境、逆境といいながら、あんまり切迫感がない上手いバランスのとり方をしています。

主人公、不屈闘志の「熱血なんだけどわかってない」ってとっぽさがいいです。原作の漫画は知らないのですが、玉山鉄二はそんなとっぽさがよく似合う。

最後の甲子園をかけた試合は9回裏で112対0という大ビハインド、一体何のスポーツですか?という逆境までいってしまう・・・そこまで何もしない監督って偉大。

面白いものを作ろうという意欲が、これみよがしでなく笑っている内にすっかり自分も熱血気分になる正統スポーツ根性ものでもあるという筋の通し方も好きです。

私が感心してしまったのは、不屈君の台詞「星飛馬も、「侍ジャイアンツ」の番場伴も、キャプテン翼もみんな、左利きだった。それだったら俺だって・・・」へぇ、そりゃ知らなかったなぁ。しかし、ナインの反応は「キャプテン、なんでアニメの話なんか持ちだすんですか・・」ってアニメ以上に荒唐無稽な世界の中の台詞にまた笑いました。

いや、私はこの映画、大好きです。

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