オーバードライヴ
2005年6月10日 DVDにて
(2004年:日本:127分:監督 筒井武文)
たまたまですが、このDVDを観る前に、黒澤明監督の初監督映画『姿三四郎』をDVDで再見しました。
この映画は津軽三味線に目覚める青年なんですけれど、もう修行物にはあるパターンというのがあるのかもしれません。
高慢で負けを知らない、認めない青年が修行を通じて成長・・・そして師の娘や孫娘に恋心を抱き、悪役的なライバルの存在、周りの敵や味方の描きかた・・・きっちり基本通り、安心感があります。登場人物たちも若い人を中心に、主役の柏原収史が三味線本当に弾いている迫力あります。また、ギタリスト時代のゼロデシベルというユニット、ボーカル、鈴木蘭々、キーボード、賀集利樹の3人組っていかにもいそうな感じでこのユニットいいなぁ。
ただし、監督の趣味は私とはちょっと合わないようです。師のミッキー・カーティスなどはいいのですが、その孫娘、晶(杏さゆり)が私には魅力的に見えないというのはきつい。折角、主人公、柏原収史君、三味線をこなしているのですが、その原動力となる女の子が、私には下品に見えてしまうだけなので、どうしても身をゆだねることが出来ないのでした。どうしてもグラビア少女目線だし。
晶はいつも何か食べているという食いしん坊なのですが、その食べ方が凄く下品。いつも肘ついてべちゃべちゃ~~~とぐちゃぐちゃ食べている。監督はそこら辺を「かわいい」と感じて演技指導しているのでしょう。『甘い人生』のイ・ビョンホンの美しい食事の仕方・・・を見習ってね、晶ちゃん。逆に高慢娘、鈴木蘭々は堂々としています。
本物の津軽三味線に相当力を入れているので観るのならば、音響のいい映画館で観れば良かったです。
今まで知らなかった三味線界の人たちの演奏もいいですし、脚本は軽くて、かなりマニアックなコメディ要素があります。「岩場の修行を乗り越えたのはヴァン・ヘイレン君以来では?」という師匠、ミッキー・カーティスの息子、小倉一郎がいいです。
全体としては愛すべき映画でした。
・・・・ここからちょっと話が脱線します。私はDVDをあまり観ないので、DVD派の方からしたら「何言ってるの?」と思われると思うのでDVDで映画を観るのがお好きな方はスキップしてください。
よくマジックで、男の人は「へぇ~~~」と感心するだけだけれども、女の人は「どうやったの?」と種を知りたがる、と本で読んだのですけれど、映画に関しては私は男なのかなぁ、と思います。あんまり裏を知りたいと思わないのです。
このDVDは特典がたくさんついていて思わず観てしまったのですが、メイキングやインタビューはまだいいとして、監督や出演者による各シーンの解説はどうなのかなぁ。
監督は「ここは小津映画のパロディです」「ヒッチコックの『鳥』カットですね」等々映画へのオマージュを「説明」しちゃっているのですが、言われないとわからないのはどんなもんでしょう。
作り手が映画好きなのはわかるのですが、映画好き=優れた映画監督にはならないのです。それがわかってしまったのが痛かった。
まず、作品だけで表現、説明、完結させて欲しいし、それがプロだと思います。例えそれが昔の映画を手本にしていても観客がわかる必要はないのです。
説明しすぎも興ざめ。でも、これが今時のDVDの当たり前なんだろうな、、、それがないと不満な観客もたくさんいるのだろうなとも。
そんなのに慣れきってしまうと映画に対して、すごくすれっからしになって素直でなくなるような気がするのです。
私は映画に身をゆだねられればそれで満足な方ですから、????と思ってしまった次第。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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