さよなら、さよならハリウッド

さよなら、さよならハリウッド

Hollywood Ending

2005年6月7日 恵比寿ガーデンシネマにて

(2002年:アメリカ:113分:監督 ウディ・アレン)

ウディ・アレンの映画は3年ぶりだそうですが、これは2002年の映画でした。今年はこれから続々とウディ・アレンの映画が公開されるそうです。

しかし、ウディ・アレンも観やすくなったというか、自分が観られる歳になってしまったのか・・・ちょっとわからないのですが、ウディ・アレンの映画って寓話的なものは観やすいのだと思います。

『カイロの紫のバラ』など古き良き時代のアメリカ映画を踏襲して作られているけれども、ベースとなっているものがわからなくても面白く観られるというものです。

この映画も音楽といい、映画の中で作られる映画『眠りなき街』も時代設定が昔風(でもどんな内容かよくわからない)、その周りの人間関係が面白く作られています。

ウディ・アレンのアカデミー賞嫌いって有名なのですが、この映画の主人公の映画監督のヴァルは「過去2回アカデミー賞を取った」と言うのが自慢でそればっかり言いつのる。

この10年は失敗作ばかりで、もう仕事がなくてオロオロしている(もと)巨匠監督。うわ、誰のこと言ってるの???キツいなぁ。

しかも奥さんエリーは、ハリウッド映画会社の大物プロデューサー、ハルにとられてしまって、破局。でも寂しくていられないから若い女優の卵なんかと同居している。(情けねぇ~)

そこにエリーとハルがプロデュースする超大作『眠らぬ街』のリメイクの監督の話が・・・・気持ち複雑で嫉妬でイライラしっぱなしだけれども、仕事も欲しい。しかもしかも、神経質になるあまりクランクインと同時に心因性の失明症になってしまい目が全く見えなくなってしまう・・・もう、映画は降りられないし、でも目は見えないしで・・・泣きっ面に蜂のウディ・アレン・・・もう半泣きでしゃべりっぱなし。

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ言いつのるのですが、その台詞が毒があります。

大物プロデューサーは、とにかく客に受ける中間路線の娯楽大作を作れと・・・ハリウッド(西)からわんわん言ってくる。うわ、誰のこと言ってるの?

しかしニューヨーカー(東)の意地があるウディ・アレンは、八つ当たりしまくりながら、映画を作る苦悩する監督。

台詞映画と言ってもいいくらいなので、すぐに公開されなかったのもちょっとわかる気がします。下手すれば字幕追っているばかりになるし、字幕には出し切れない映画ネタ満載。

それでも観られてしまうのは、台詞のやりとりの妙というものがあるからです。元妻、今は上司(?)のプロデューサー、エリーとの会話なんて映画の話からいきなり、なんで浮気したんだ~~~~という怒りになり、即映画のことになり、またすぐこの裏切り者~~~僕なんか、僕なんか・・・ニューヨーカーだぞ!!という意地っ張りになったり・・・コロコロ変わるのをあれまぁ、とあきれて眺めてしまうのです。

私はハリウッドプロデューサー、ハル役がトリート・ウィリアムズ、そのパートナーがジョージ・ハミルトンというキャスティングが好きです。

この2人とエリーがプロデューサーなのだけれども、ぶりぶり威張るプロデューサーの役、やっててきっと気持ちいいだろうなぁ、と思うのだけれども、今思うとちょっと業界に敵作る?みたいな気もします。冗談ですまない人たくさんいるかも・・・

そこを小心者で見栄っ張り、ニューヨーカー自慢の愚痴愚痴男を中心に持ってくることで、ある意味、毒というより今時の映画業界への嫌味ギリギリスレスレ。

しかし、映画としては安定感があるものになっているし、全体を観てみると、古き良きハリウッド映画へのオマージュにもなっているというウディ・アレンならではの映画です。

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