皇帝ペンギン

皇帝ペンギン

La Marche L'empereur(The Emperor's Journey)

2005年9月18日 恵比寿ガーデンシネマにて

(2005年:フランス:86分:監督 リュック・ジャケ)

南極で冬を過ごし、卵を暖め、春に雛をかえす為にもうたくさんのペンギンたちが、オアモックという岩場に囲まれた場所で100キロという道のりを歩いて集まってくる。そして何ヶ月もエサを食べずひたすら身を寄せ合い、卵を暖めるペンギンたち。

こういうドキュメンタリーは、想像を絶する風景というのにいつも驚かされるのですが、白い氷原をずら~~~~っと列を作ってぺたぺたと黙々と歩いていくペンギンの行列の長さにびっくりです。

また、身を寄せ合ってひたすら寒さに耐えながら、卵を暖める・・・父と母(必ず同じつがいになるというのが不思議)が交替で、エサを食べる旅に出る。その時、抱いている卵をパス(?)するのですが、それがまたヒヤヒヤするんですね。

足元の袋(?)に入れた卵、寒いから早くしないと卵が凍ってしまう・・・・

やはり厳しい南極の世界では、失敗して死んでいくものもたくさん出てくる・・・それは次々と困難が待っているわけです。

撮影は本当に長い時間をかけたのだろうなぁという凝り方で、どうやってこんなに細部まで映せたのかわからない、その作り手の努力が涙もの。

この映画はナレーションが、父と母と子というペンギンの内面の声が、愛の詩の朗読のようになっていて、妙にドラマチックで皇帝ペンギン愛の劇場・・・のような脚色がされています。さすがフランス。

それが、本来のドキュメンタリーとしての映画に合っているかどうか、最初は疑問だったのですが、だんだん、ナレーションを楽しむようになってきました。

子ペンギンが産まれるとそれはふわふわとして可愛いのですが、雛がかえるまで辛抱していた父ペンギンは、無事帰ってきた母ペンギンに「妻よさらば」とエサを食べにいく旅に出てしまうのでした。そういうところが、やはり人間とは違う父性、母性の持ち方で自然の不思議を感じます。子ペンギンたちも親離れが早い。さっさと子ペンギン同士で集まってぎっちり毛玉状態になったりします。誰にも教わらないのにね。

かわいいペンギンちゃんを見る、というより、極寒の世界で生き延びるペンギンたちの貴重な姿が見られます。

こういう映画は是非子供達に観て欲しいなぁ、と思います。南極サバイバルの厳しさというものがよくわかります。

私は、ペンギンが卵を暖める為の足元の袋(?)を「ちょっと見せてください」といって、持ち上げて中を見てみたい衝動にかられました。

あと、ペンギンのお尻の穴を初めて見た・・・う~ん、貴重な映像です。

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