僕の恋、彼の秘密
Formula 17/17歳的天空
2005年12月13日 新宿武蔵野館にて
(2004年:台湾:93分:監督 DJ チェン)
キリスト教などが、浸透していて同性愛になるととたんに禁断の世界になってしまう欧米に比べるとなんて明るくてオープンな「男の子同士の恋愛」・・・もちろん、アジアの宗教観や文化でも同性愛となると、影のイメージはありますが。
同性愛というよりも、男の子たちの恋愛と友情をカラリと描く、ということに徹しているのがいいです。
普通、恋愛の対象にならなくても女の子の1人くらいは絡むのですが、ここも一切女の子は出てきません。お母さんですら、子供時代の回想で手が出てくるだけという、意外と徹底しているところは徹底しています。
田舎から、夏休みを過ごす為に台北に出てきたティエン(トニー・ヤン)が出合ってしまったプレイ・ボーイのバイ(ダンカン・チョウ)
都会に出てきて訪ねる友人達が皆、ゲイである、って所が凄いですけれど、それに対して悩んだりはしません。
むしろ男女の恋愛と同じ・・・自分の想いが伝わらない、心にもない事を言ってしまって傷つけた、または恋人にふられてガ~~~ン・・・といった男の子たちのあれこれが、テキパキと進みます。
冒頭、ティエンがプールに飛び込むシーンからして、もう夏の雰囲気が出ていて、これはもうひとつの『藍色夏恋』かもしれません。
やっぱり10代の夏はプールなんだなぁ~なんて。
ティエンの友人の中では、居候するユーというゲイ・バーのバーテンダーをやっているキング・チンのコミカルな演技がいいですね。
ユーは白人の恋人に振られてしまうのですが、その落ち込みぶりが、そんじょそこらの女の子なんかよりよっぽどセンチメンタルで笑ってしまいます。ひょろひょろとしていて情けないようでも、ティエンがバイと上手くいかなくなると、一番の理解者(失恋経験者だから)。
「失恋はホラーよ!」という一言が鋭い。本当にホラーより怖いのは失恋かもしれない・・・そして、ティエンにホラー映画3本立てを見せるのです。エイリアンとプレデターが恋人同士になると思う?など凄い発想しますよ、ユーは。(私はユーがお気に入りです)
暗い、うしろめたい、隠す・・・そんな固定観念を見事に破ったこの映画、監督は女性です。
女性の感性をそのまま映画にするのではなく、男の子たちの心情にスライドさせるってことなかなかないですね。『バーバー吉野』の荻上直子監督のようなズボンをはいた女の子なのかな?監督は。
音楽も明るい曲ばかりで、監督は最初はゲイの観客を意識して作ったそうですが、結果としては性別を問わず台湾で大ヒットしたそうです。
やっぱり、夏の空のような真っ青で透き通った空気が気持ちよく画面から、発せられているからかなぁと思います。
画面から夏の風が吹いてくるようなのです。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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