変身

変身

2005年12月16日 渋谷シネ・アミューズ(赤)にて

(2005年:日本:108分:監督 佐藤智樹)

東野圭吾のミステリ小説の映画化です。

脳移植手術で一命をとりとめたものの、そのドナーの脳により人格が支配されてしまう・・・という青年とその恋人。

青年、純一を玉木宏、恋人、恵を蒼井優が演じています。

もう、この2人の映画です、といってしまってもいいくらいなので、この2人が苦手、という人は拒絶反応がでてしまうかも。

私はどちらも好きだし、東野圭吾の小説好きだしで、ふむふむ・・・と身を乗り出して観てしまいました。

最初は、甘いカップルの2人ですが、純一がどんどん、人格が変わって「変身」していく様子が丁寧。記憶として恋人の恵を好きなはずなのに、好きになれない・・・と言う課程が丁寧なんです。

恵に対しても、職場に対しても穏和だった純一が、どんどん凶暴性を持ちはじめ、異常に過敏になり、干渉を拒むようになり・・・私としては、最初の甘いカップルが、ちょっとありえない2人で、純一が、イライラすることの数々は実は私がイライラする事だったりするところにどきり。

ただ、純一の場合はイライラするばかりではなく、凶暴性と攻撃性が出てしまうということで、それに耐える優ちゃんであります。

蒼井優って上手いなぁ、と思うのは、内心ショックでも、それを表情に出さなくて、落ち着いたふりをしていても、ぴくって頬のあたりがひきつるあたりです。涙ポロポロもたくさん出てくるのですが、頬がぴくぴくっていうのが上手いと思いました。

玉木宏も笑顔の好青年から、どんどん目が血走ってくる変身ぶり、なかなか上手いです。まぁ、あまり生活感のない2人ではありますが、リアルな生活感を描いた映画ではないですからね。

純一の変身を理解しようとしても、突き放されてしまって、玉木宏が蒼井優を突き飛ばすというシーンが、結構出てきますが、岩井俊二監督だったらこういう事はさせないのではないかと思ったりもしましたが、2人共よくやってるなぁ、という感じです。

映画の導入部分も東野圭吾らしい、記憶がない、わからない・・・というミステリ仕立てになっていて、良かったですね。

ラストの余韻もいいです。悲しい運命だけれども、それを受止めるという姿勢の良さが蒼井優にはあります。 

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